7 探索者ギルドに登録
ハルの方がこの世界の事をよく知っていた。
ハルは、「大きくなったから、探索者になれる。」
と言って探索者ギルドに登録することになった。
この世界の何処を探索するのか。何処に行っても皆同じ造りなのに。でも、仕事に興味があったので、私も行って見ることにした。
「此処に、年齢と名前を書いてください。」
ハルは字が書けない。私も読むことは出来るが書くことはどうだろうか。一応日本語なので書いてみると、草書体で書くことが出来ていた。
ハルの年齢は14歳と偽った。私の、弟と言って、パーティーを組んだ。
どんな仕事か聞いて見ると、国の端まで行って魔物を獲ってくると言う。いたんだ魔物。
ハルは私に詳しくこの世界の事を教えてくれた。
この世界は五芒星の形なのだという。その真ん中にあるのがファーストの国。後の5つの国はそれぞれ五芒星の三角に位置している。ファーストは真ん中で五角形の形をしている。世界の端から離れて居るので魔物が少ないが他の国は端に接しているので魔物は多いそうだ。
これで、私の魔法も活躍できる。探索者ギルドにも魔法を使う探索者がいた。と言う事はファーストの街だけが特別だったのだ。
私は、このままハルに探索者をさせて良いものか迷っていた。魔物を相手にするには、ハルは経験不足だし本当は未だ10歳だ。
「ハル、貴男、少し訓練してからの方が良いわ。お金のことは心配しないでゆっくり強くなってから、一緒に魔物を討伐に行きましょう。」
探索者ギルドには訓練してくれる、教室のようなものがあった。其処にハルを通わせる事にした。
まるで、私がハルの母親のようだ。年齢的にはあのくらいの子供がいてもおかしくはないのだな。
ハルは毎日一日中ギルドに行って殆ど家にはいない。朝、お弁当とお小遣いを持たせ送り出す。私は魔法の練習を一人でやってはみるが、想像力の欠如で通り一遍のものしか出来ていない。
その内飽きてきて、魔法の練習をすることはなくなってしまった。
また、暇になって仕舞った。
久し振りに家事を熟しながらブツブツと独り言を言う。肉を焼きサラダを作りパンを焼く。
洗濯して外に干す。日々の生活の細々としたことをしていると、ふと、思うことがあった。以前は、忙しくて、食事は出来合いのものを買い、洗濯は纏めてコインランドリー。掃除は一人なのでたまにしかしなかった。後は、仕事場と家に帰る生活。偶に、お酒を一人で飲み、映画をチョット見る程度。何も面白くない日常の繰り返しだった。35歳にもなって、友達も恋人もいないお一人様。侘しい生活。
ハルがいてくれて良かった。誰かのために食事を作り、洗濯をし、掃除をする。面倒なはずの家事が、普通にこなせていた。結婚はしなくても、子供が欲しいと言っていた先輩のことが、この頃理解出来る様になった。
「ただいま。」
ハルが帰ってきた。今日はどんな話をするのか。「お帰りなさい。」