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5 お断りいたします

「私、お断りします。」

ハッキリ断った。こんな処で無理矢理好きでもない相手と結婚だなんてとんでもないことだ。

「貴女、此処を出て行って、生きて行けるの?仕事が欲しくてここに来たのでしょう。」

お金はあるのだ。面白そうだから来ただけだ。だったら出て行くまでだ。

「いえ。私はこれで失礼します。」

私はお城を出た。いつもの自分の行動だ。融通が利かないと前にもよく言われたが、それで生きにくかったことは分っている。でも嫌なものは嫌だ。。

引き留められなくて良かった。多分未だ、魔法を教えていないからだろう。

また、火の鳥亭でお世話になることにする。折角友達が出来て、嬉しかったけど、もう仕方ない。キャスは素直に結婚するようだった。


「仕事はだめだったのかい?」

熊みたいなご主人サムが戻ってきた私に聞いてきた。

「うん。彼処は私に合っていなかった。無理矢理結婚させられそうになった。」

「そりゃ、お前。貴族になれたんじゃないか。皆憧れる仕事だそうだぞ。」

「私には合ってない。もう少し考えて、違う仕事を探す。」

また、引きこもり生活だ。

でも、ただの引きこもりではない。今回は魔法が自分に出来ることが分ったのだ。

教えて貰う前に出てきたが、なんとかなりそうな予感があった。

魔法のポケットに念じて、魔法が出来る様な物を出して貰おう。

ポケットに手を突っ込んでみると、ステッキが出てきた。

「魔法の杖?」50センチ位の細い杖。

草原で試してみよう。


私の適性は3つだそうだが、他の適性の魔法も使える気がする。そう念じて出して貰った杖だ。まずは火の玉なんかどうだろう。

「えい!出ろ火の玉。」

杖の先から、ボワッと火の玉が出た。ほらな。簡単にできた。この分だと考えたことはすべて出来そうだ。

この国に倒すべき魔物がいないのが残念だ。折角魔法が出来るのに、役に立たない。

まあ何かあったときの保険としておこう。

お金はポケットから出てくるし、魔法も使える。何でも簡単にできると言う事は、案外つまらないものかも知れない。

「次は、何を目指そう。」

そう言えば無属性という魔法は何が出来るのか?自分が思い付かないものは出来ないのが、難点だな。


火の鳥亭のサムとは、気安い関係で、居心地は良かったが、別の国に行って見よう。若しかしたら、魔物が一杯いて困っている国があるかも知れない。

サムに聞いてみると、隣の国へは何処も7日歩けば着くと言う。セカンドからシックスまで皆同じ距離だと。何処を目指しても同じだとは。

「サム、色々お世話になりました。じゃあね。」

「ああ。気を付けてな。野党がいるから。」

野党か。これはチャンスだ。魔法で遣っ付けることが出来るかも。


言われたとおりの一本道。迷いたくても迷えないほど分りやすい。

此処に野党が現れるなんて思えない。直ぐに捕まって仕舞うだろう。こんな処で襲う奴は余程の馬鹿だな。

「おい。こら。金を出せ!。」

馬鹿が出た。然も一人で。身体もそんなに大きくない。この世界基準で言えば、子供だ。

すかさず火魔法をお見舞いしたら、ビックリして気絶してしまった。

「何だ、こいつ。弱いにも程があるだろ。」

道端に寄せて、水を顔に掛けてやると、目を覚ました。

「ツ、冷めてエー!。なにするんだ!この野郎。」

「貴男、何で野盗なんかしてるの。未だ子供でしょ。」

「うるせー。金がなけりゃ野党するしかねえんだ。」

「じゃあお金をやるから、こんなことやは、もう辞めな。」

金貨を一枚出してやる。

「お貴族様だったのか。やべえ。俺殺されっちまう。」

「貴族じゃないよ。殺しもしない。さあ、もう家に帰りなさい。」

野党の子供は、帰る家がないという。親は病で死んで仕舞い一人残されて、家も取り上げられたのだと言った。このお金でなんとかしてなるでしょ。金貨は結構価値があるらしいし。

その子を置いて、また私は、歩き出した。


後から、子供が着いてくる。ふー。

「なんでついてくるの?」「ついて征ってない!偶々同じ方向だ。」

多分寂しいのだろう。私も経験がある。突然親がいなくなる。可哀想だからつれていってやるか。

「君の名前は?」「ハル」

じいちゃんと同じ名前だ。

「じゃあ、ハル。私と一緒にサード国へ行く?」

「うん!行く。」

ハルの服はボロボロだ。道から離れて、ハルを洗ってやる。そして魔法のポケットでハルの服を出してやった。ハルは目をぱちくりして驚いていた。ハルは未だ、10歳だった。






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