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序言
春よ。そんなに苦しかったら、こっちへおいで。お前の苦しさはこれ以上耐えられないだろう。
お前は充分やったのだから、もう良いだろう。此方にお前の居場所を用意した。
春よ。もう、頑張るな。いくらやったとしてもその苦労は報われぬ。
こっちへおいで。一緒に楽しもう。一緒に泣こう。一緒にこっちで苦しもう。
同じ苦しみでも、一緒に感じれば楽になる。
春よ。未だ来ないのか。待ちくたびれて、こっちから、お前を迎えに行って仕舞うぞ。
もう疲れただろう。私も、待ち疲れた。
もう、行って仕舞うぞ。此方から。