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異世界恋愛+α(短編)

竜殺しの英雄をノックアウトしてやりましたわ

作者: いのりん

ストロング国には今、「竜殺しの英雄」が二人いる


1人は、辺境の令嬢ジャンヌ・フォン・ゲイボルク


もう一人は、今、彼女の足元で白目をむいている男だ


なぜ、こんなことになったのか。


話は数十分前にさかのぼる



☆☆☆


「私にもっと力があれば......申し訳ございませんお嬢様」


「いいえ、貴方の努力には感謝しています。」


側近のカイトに笑顔で答えつつも、わたくしは憂鬱でした。


わたくしの名前は、ジャンヌ・フォン・ゲイボルク。 


強そうな名前でしょう?実際強いのです。


元魔王城と近い辺境、北の飛び地である北方領土は、魔物が大変強いことで有名な土地です。

その地の伯爵令嬢であるわたくしは、先日、単騎で雷帝竜ボロトニウスを討伐しました。


そして名誉ある「竜殺し」をなしたことを王都に報告すると、最近、もう一人「竜殺し」をなしたという殿方、ダイリ・フォン・ブレーブ様と結婚するように話が持ち上がったのです。強い者同士で結婚すれば、より強い子が生まれて国益になるのではないかという理屈でした。


正直、気乗りがいたしません。

というのも、わたくし、幼馴染で、又従兄弟で、側近でもあるカイトに恋していますの。

カイトもわたくしのことが大好きで、いわゆる、「両想い」ってやつですわ


彼、戦闘力こそ平凡ですが、それ以外は全部凄いのですよ。聡明で、気遣いもできるスパダリです。先日の雷帝竜ボロトニウスの討伐だって、彼が良い作戦を立てて装備を整えてくれなけば負けていたと思います。


ただ、貴族の責務として政略結婚は受け入れなければならないでしょう。会ったこともないですが、ダイリさまは「竜殺しをなした」という点において、尊敬できる方というのが救いですわね。




そうして、応接室でダイリさまと向かい合ったのですが


予想外でしたわ。悪い意味で。


言動は荒々しいし、マナーもなっていないし、好きになれそうになりません。

それに、強そうにみえませんの


全然!  

まったく!!  

これっぽっちも!!!



「竜殺しということでどんなゴリラ女かと心配ていたが、貴様の見た目は好ましいし、貴族の責務として結婚はしてやる。だが、先に言っておくが、俺は外にも女を作るぞ、英雄色を好むというしな!」


すんごい失礼なことを言っていますが、本人にその自覚はないみたいです。そこでわたくしはある可能性を思いつきました。本物のダイリ様は別のところにいて、結婚に乗り気でないため縁談を壊そうと偽物を送り込んできたのではないでしょうか?


もちろん褒められた行いではありませんが、わたくしにもカイトという思い人がいるため気持ちはわかります。確かめてみましょう。もしかしたら利害が一致して、角を立てずに結婚の話を水に流すことができるかもしれません。


「失礼ながら、貴方は本物のダイリ様ですか?ちょっと本物に見えないと言いますか……」

「は?失礼な女だな!正真正銘、地竜を討伐したダイリ様だよ!見ろ、身分証明書だ!」


え、本物だったのですか?あと地竜って、竜ってカウントしていいんですの?それは、確かに「竜」って名前についていますが、翼はないし、ブレスも吐かないし、魔力もないし……北方領土では「でかいトカゲ」っていう扱いなんですけれど


「苦労したんだぞ、20人も護衛を連れて行ったのに、ほとんどの奴が大けがして。」

「え?そこは当然、単騎討伐じゃありませんの?地竜ならここにいるカイトでも単騎討伐できますし、彼なら戦闘経験のない農民だけでも10人いればケガさせることなく討伐させられる指揮能力だってありますわよ......」

「ふざけるな!そんなわけないだろうが、この馬鹿女!」


激高したダイリ様が殴りかかってきますが、スローモーションのように遅い

これは、あれですわね。


こぶしを額で受けて、カウンターでボディに一撃!

ベキィ!ボキン!

「ゴへぇ!?」


頭が下がったところに、仕上げのアッパーカット!

バキン!

「ぶへぁ!?」


あら、相当手加減したのに、ダイリ様ったら拳も肋骨も顎も砕けてしまいましたわ

でも、先に彼のこぶしが当たっていますし、法律的には正当防衛ですわね


「この縁談はなかったことにしましょう。貴方、弱すぎますわ」


おっと、気絶して聞こえていませんわね



☆☆☆


その後の話をしますわ


あの縁談はなかったことになり、わたくしは鎧飛竜を討伐したカイトと結婚しました。

どうやらカイトは、王国の基準では英雄をしのぐ戦闘力の持ち主だったみたいです。

わたくしにくらべると弱いんですけどね。


結婚してからもカイトは優しく聡明なスパダリで夫婦仲睦まじく暮らしました。可愛い子供も5人産まれました。皆わたくしの強さとカイトの聡明さを持っていて、「よき子孫を残す」という、貴族の責務もはたせたと思います。





ああ、もう一つ付け加えておきましょう


夜、ベッドの上では

カイトのほうが、ずっと強かったですわ////



めでたしめでたし

話を気に入ってくれた、聡明で、強い女に憧れるアナタ


指の筋トレとして「ポイント」や「いいね」をクリックすることをおすすめしますわ。よろしくて?


感想なんか書いて下されば、もっと聡明にもなれますわよ

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