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【序章】「歯車」
カラカラカラ……。
壊れた歯車を回す音がする。
それは、何の目的を持って動いているのか。
カラカラ……。
音が響く。
音が刺激を与える。
音が混乱を招き出す。
……そして、
「これで二度目だ。お前が肉体を転移するのは……」
言葉が刺さり、歯車が止まる。
音が止み、静けさを与える。
もう、目の前には何も動くものがない。
残されたのは、言葉を発した人物のみ。
「……今度こそ、伝えてこい」
時が経てば経つほど、死の影が這い寄ってくる。
その淵に浸かり切る前に、実行に移さなければならない。
そうでなければ、二度と……。