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ここだけの話(日常エッセイ)

漫画と老いと私

作者: 黒坂 志貴

今日、実際にあったショッキングな出来事。

年をとるって、こういうコトなんですかね……。

私は小学生の頃から、漫画が好きでよく読んでいた。

初めて自分のお小遣いで買ったのは、何巻かは忘れてしまったけど、未来の猫型ロボットが主人公なアレ。

それからアニメ化されていた漫画の原作が連載中の雑誌があると知り、少女雑誌に興味を持ち少女漫画を読むようになっていく。

けれども、家族はもちろん友達を含めた周囲に漫画好きはおらず、一人だけのひっそりとした趣味。

当時、自宅に一台しか無かったテレビは、父がいればニュースか野球中継、いなければ弟がお笑いや少年向けの特撮やアニメを見るので私にチャンネル権は無かった。

たいていの続き物が週イチペースなのに、放映曜日と放送局、時間すら覚えらなかったのも敗因だが、常に側にあって好きな時間に集中できる漫画が好きだった。


高学年になる頃、親戚のお姉さんが処分したいからと本棚ごと漫画をくれたので、さらにのめり込んだ。

当時のお小遣いで月に一冊しか買えなかった私には、本棚いっぱいの漫画は夢のよう。

嬉しくて毎日、夢中になって読んだ。

対象年齢が少し上の物が多かったが、難しい文字や表現が目新しくて楽しく、何より引き込まれる話を一気読み出来るのが良い。

気に入ったものは何度も繰り返し読んだし、途中までしか揃っていなかった漫画は続きを買ったり、面白いと思った作家さんの他作品も、こつこつと古本屋を巡って集めたりしたものだ。


そうして蔵書が増えていっても、持っている漫画は覚えていた。

三十巻を超える作品であっても、表紙イラストだけで一巻から順に並べられる自信もあった。

(一人遊びでやってみたら、実際に出来ていた)


高校生になってバイトできるようになると、さらにコレクションは加速した。

本屋で月ごとの新刊をチェックしつつ、既刊案内を見て古本屋を巡り、過去作を探す。

同じ漫画好きな交友関係も広がり、貸し借りをしながらかなりの作品を読んだ。

恋愛メインのものは苦手だったので、ファンタジーやSF、歴史にバトル等。

たいてい、好きな作家を追って集めていたので、今でも当時の友人が好きだった作家は覚えている。


恐らくピーク時で、蔵書は五百冊くらいになっただろうか。

それでも新刊の発売日と、持っていない既刊は覚えていたものだ。

それなのに……。


就職を機に、僅かなお気に入りを残して、大多数を処分した。

それでもまた少しずつ増えてきた漫画を、結婚を機に、再度処分した。

今は置く場所も限られているので、百冊くらいしか持っていない。

新刊のチェックもほとんどしなくなり、既刊を探す事も無くなった。


妊娠中は、お気に入りで手元に残したものを、たまに読むだけで満足だった。

が、出産後に生活で手一杯になったものの、子供たちが乳幼児期を過ぎて時間が出来ると、また漫画が恋しくなってくる。

続きを待ちわびて買う情熱は無くなっても、手元に残した本の続きが本屋で目に留まれば気になるもの。

新刊だと喜んで買って帰り、読むと知っている話だと思った時はショックだった。

人生初の、ダブリ買い。

本棚に並べると、これが年を取る事かと妙に実感したものだ。


それからさらに数年、漫画好きは健在で、年に1~2回大人買いして子供と読むようになってきた。

それでも過去に比べて、蔵書は微々たるもの。

新刊待ちの単行本なんてほんの数作しかないが、間違いを犯してからはやや慎重に買うようになった。


数週間前に本屋へ寄った時に、新刊コーナーで続きが出ていることを知ったとある漫画。

その時は急いでいたのでまた今度と見送り、今日改めて買い物ついでに本屋へ立ち寄る。

もう新刊コーナーではなかったけど、本棚で見つけて会計を済ませ、自宅に帰って読みふけった。

新鮮な気持ちで物語に入り込み、満足したのに巻末の次巻予告に目を疑う。

買ったのは3巻、新刊は4巻だったんですよ。

でも話は知らなかったし、3巻出てたの気付かなかったのか?


改めて、普段はなんとなくしか見ない本棚を確認すると、あるんですよ3巻が!

自分で買っていたし、読んでいるはずなんですよ。

数か月前の記憶が、こんなに綺麗サッパリ無くなるものなんですか?

ダブリ買いもだが、読んでも気づかなかった事に衝撃を受けた。

それもたった、3、4巻しか出ていない漫画で。


いや、確かに春先は子ども会の役員になったばかりで、何かと忙しかったけれども。

コロナ禍も明けたからと、あれこれ行事復活だと騒がれて、半狂乱になっていたけれども!

毎週末、会合だ行事だと追われて、平日は深夜までグループラインが喧しかったけれども!!


ケーキは別腹!ってな理屈が通用しないお年頃だと気づいたアラフォー、脳内容量も好きだからと無限大では無くなっていたのか。

よく中高年は断捨離とか言うけど、好きな事を好きでいるために、取捨選択は大事なのだ。

何度か卒業を試みたこともあったけど、私はきっと死ぬまで漫画が好きだろうな。

いや、なんとか死ぬまで楽しみたい。

そのために、上手く大人の取捨選択を取り入れたいものだ。


そして。

親戚のお姉さんに貰って続きを買っていたものの、途中挫折して処分してしまった未だ未完の某漫画。

完結後に全巻大人買いを目標と定めようと、最近WEBで読み返して決めた。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

地味でヲタクな中高年のどうでもいい日常ですが、こういったくだらない話をする相手もいないので、なんとなく吐き出したくて書いてしまいました。


私より年若い皆さま、有り余るほどのエネルギーを、ゼヒ思い切り使って楽しんでください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 好きなものへの情熱と、自分の変化を津突戸と表現されていてとても感じ入ります。 [一言]  筆者様と規模は違いますが、私も近年100冊単位で漫画処分しました。  近所の漫画喫茶を蔵書と捉え…
[一言] あああ、めっちゃわかります! 自分ももう新刊を買うシリーズはほとんど残ってません。 新しいものはアプリで読んでみますが、無料分が終わった後に課金してまで読みたいものはごく一部で──。 新…
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