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報告会議

 今日も目覚めると先ず食堂に向かった。


「それにしても、ここまで五日で走りきるなんて何度考えても凄いよね~」


 シリウスはヴェアの駿足振りに昨日から話しても話し足りないというように感心しきりだった。


「…もし競走したら……ウワッ~やっぱり勝てる気がしないよね~ミルト兄さんは?」


「俺も無理だと思うよ~」


「……ただ寝ないで走って来ただけだぞ?」ヴェアは何でもない事のように言う。


「それがまた本当に凄いんだよね~今度、走りっこしようよ?」


 ボーは黙ったまま横を歩きながらも少し照れたように笑っている……ボーも内心は嬉しくて仕方ないのだ。




 シリウスはヴェアがボーに会うために走り通した事が嬉しく、何よりヴェアの事が大好きになった……ぶっきらぼうだけど優しいのだ。


「……おっ! 走りっこか〜それ面白そうだね~」


 ヴェアは既に朝御飯は食べたので、食堂の前で骨型ガムを噛りながら待つそうだ。私達はヴェアを置いて食堂の中に入って行った。




 まだまだ起きていられる時間が短いため、先に食材やスイーツの変性を行う。


 それが終わる頃には隊長さん達やエルフに獣人にケットシー達も集まって来て、食事やスイーツを食べながらの報告を兼ねた会議をするのが日課になっていた。




「先ず拉致されていた村が三ヶ所で被害者、総勢四二八名中、生存者数は二五六名でした……生存者の方々は既に全て村に帰り着いたと報告が入りました」


 隊長さんの報告に皆、一斉に私の反応を窺っている……私が動揺するのを心配しているのが分かる。


 私に対して嘘や隠し事はしないようにしてくれているようだった……唯、いつも話すタイミングには気遣ってくれているのは感じていた。


 私は一瞬、固まったけど出来るだけ表情に出さないようにした。


 何気にシリウスが二又のシッポを二本とも私の腰に回して引き寄せてくれる………




 キメラの実験で成功したのは僅か五名だけ、しかも最長でも三日間しか生存出来なかったそうだ……総帥の最期と同じで霧散してしまい、骨すら残らない。


「……慰霊碑を建てましょうか、お墓も造れないですしね……」私が呟くように言うと皆、口々に賛成してくれた…皆にとっても辛い報告だったのだ。


 メーアさんがデザインを考えてくれるそうだ。




 隊長さんが少し声のトーンを上げて報告を続ける「オルデン王子とブルーノ君も無事、アシエール国に戻り数日の内にはフォートリュス国に向かうとの事です」


「獣人国ボーテールにも御越しくださいと連絡が来ましたよ! うちは海の幸も山の幸もありますからね~楽しみにしていてください」獣人商会のレノさんが空気を柔らげるように微笑む。


「……あそこのクラーケンが美味いんじゃ〜」古竜お爺ちゃんは噛っていた骨型ガムを口元から落とすと、ウキウキしがら私に話しかけてくる……ヴェアが噛っているのを見て催促されたんだよね(笑)


 クラーケンか……醤油っぽいのもあるそうだし、そのうち予定を組まねば。


 アシエール国とフォートリュス国に獣人国の主導で、ここ迄の道中に休憩拠点の改修や増設も始まったそうだ。


 本格的に各国間の交易が再開されるらしい。




「エルフの皆さんの協力で幾つか香料の苗木も確保出来ましたので、此方で栽培出来るか試してみます、エルフの方々には引き続き御協力を御願いします」


「もちろんです!」エルフのベリタスさんが快活に声を上げる。



「さて、ココアの件だが……結論から言うとケットシーも一度に大量摂取しなければ問題ないだろう……此方の魔力を持たない普通の猫や犬にも、やはり毒になるようなので食べさせてはいけませんがね。あと滋養強壮が高いので人族もケットシーも食べ過ぎには注意が必要だろうね」


「……私の世界でも食べ過ぎて鼻血を出したり吹き出物が出来たりしてましたね~美味しくて、つい食べ過ぎちゃうんですよね…」


「そこまで美味しいと言われると余計に食べたくなりますね~」ベリタスさんがエメラルドの様な瞳を輝かせている……


 初めてのチョコレートは王道のガナッシュケーキにチョコとナッツのクッキーとトリュフチョコレートを出してみた。


「……苦味が気にならないというか…これは美味いな……」


「…甘さがすっきりするんだな……」


「……美味しいです〜」


 やっぱり皆も好きだよね~




 ケットシー達も最初は恐る恐る食べていたけど、人やエルフ程には好きではないみたい……そういえば甘味は大好きだけど、コーヒーや抹茶とか苦味のある味は好まなかった。


「僕はチーズケーキの方が好きかな~」


「そこはプリンでしょう〜」


「キスルンルンかな~」


「私は苺と練乳のかき氷〜」アピスちゃんとルーチェちゃんは余程、気にいっているらしい。


「わしは、やっぱり抹茶と黒蜜じゃな〜」古竜お爺ちゃんは本当に抹茶好きだよね~




 ケットシー達がチョコレートを食べ過ぎる心配も無くなった事だし激務の兵達にはチョコレート菓子も常備しておこうかな……





そろそろストックが減ってきたので、次回から更新が不定期になります。

週一ペースでと考えてますが出来ましたら、ブックマークをして頂けると励みになります。

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