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エルフ族の研究者

 メーアさんは私の腕をとると庇うように食堂に向かい、他のケットシー達も私達に気づいて休憩室から出て来ると合流して来た。


 ニクスさんは後発のエルフ達を別棟に案内しているそうだ、到着したのか……


「食べきれない位、料理を出したり……仕事を、お願いして気をそらすのってどうでしょう?」


「……やってみましょう! この際、こちらも対処しなくては保ちませんわ」


 食堂に入ると先に日課の食材増やしをしてから食器と素材を持ち隙のテーブルに移動する。


「……昨日は失礼しました。しっかり寝ないと身体が辛くなる質で(嘘も方便で)……御理解頂けますよね?」


「何と⁉ そうでしたか」


「召喚者には睡眠が必要不可欠、と……」メモる程の事じゃないですよ?


「き、今日は、しっかりお休み頂けましたか?」


「はい、おかげさまで……昨日の御詫びに異世界料理をお召し上がりください」


「「「何と! 異世界料理ですか⁉」」」エルフ·トリオが喜びの声を一斉に上げた。


 私は長机いっぱいに、これでもかと料理を出すとエルフ·トリオを置いてサンドイッチとコーヒーを持って、そっと食堂を後にした……これで暫くは動けないよね?



 私とメーアさんはケットシー休憩室で、ゆっくり食事をする事にした。


「……本当は、ここに噴水を造りたかったのですが……水が循環しているのが上手くイメージ出来なくて……·」


「噴水……それでしたら、オルド様が得意ですわ!」


「本当に? 後で頼んでみましょうか」


「それに今回お越しの方々は魔法に卓越された方ばかりです……庭園造りにも参加して頂きましょう!」なるほど適材適所、というか……ゲストではなくて、もはやスタッフという事ですね(笑)



 再び食堂に戻るとエルフ·トリオのテーブルには後続のエルフ達も合流して、さながら宴会のようだった。


「あの……お料理、足りてます?」


「おお‼ ポン様〜皆、こちらがポン様ですよ~!」オルドさん達が拍手で私達を出迎える。


「何と! まだ幼い少女ではありませんか?」


「少女? いえ……私はこう見えて大人ですよ! それに様付けは勘弁してください……」


 私の顔色を見て、すかさずメーアさんが割って入ってくれた……やっぱり圧が凄い。


 エルフ達は席を詰めて私達を座らせてくれた。


「皆様、無事に御着きになり安心いたしましたわ。魔法国の地が、これほど荒廃しているとは思いもよりませんでしたわね、皆様もさぞ驚かれた事でしょう?」

「確かに! かつては草原があったはずなんだがな……」それは驚き!


「私達のためにポン殿とシリウス殿、古竜様が池を造ったり緑化の第一歩として庭園を造られようと御尽力されております」


「ただ……私が起きていられる時間が短くて、あまり進んでませんが……」


「皆様、それぞれこちらでの御仕事の傍ら御手伝い頂けませんか? 森を護るのも私達エルフの努めですわ!」


「何という心意気! もちろん喜んで御手伝い致しますぞ!」皆、口々に参加表明してくれた。


「あの、オルド様は噴水造りが御得意だとメーアさんから伺いました……実はケットシー用の休憩室に造って頂けたら、嬉しいんですが………」


「何と! メーアがそのような事を? もちろん得意ですとも‼ 喜んで造ります、何個でも造れますよ!」やったね! 言質は取ったぞ~広場にも造ってもらって…後は露天風呂と……


「ねぇ……池に、お魚入れられる?」シリウス君いい事、聞いてくれた!


「あ、それなら私が得意ですよ!」他のエルフが手を上げる。


「私は花園ならば!」後は競うように得意な魔法の話になる、ひゃほーいっ!


「本当にエルフの皆さんは魔法にたけておられのですね凄く心強いです……あの、お願いついでに一つ気になっている事がありまして……これなんですが」私は器に、ココアパウダーを出した。


「私の世界ではココアとかチョコレートと呼ばれる物で大元は薬として使われていたのが苦いので飲みやすくするために甘みを付けたところ、その美味しさから今では菓子の代名詞にまでなっているのですが、私の世界の猫にとっては毒になる物なので、こちらでは出していないのです……でも、もし食べれるようならお出し出来る甘味が増えるんですよね。私とシリウスは状態異常耐性があるので検証も出来なくて……」今回のメンバーは事務方より研究者が多いと聞いてたんだよね。


「……異世界の薬だった、と……」


「……これ、アマラスに似ておらぬか?」


「おお! 確かに粉にすると似ているな……」


「薬草なら私の出番ですよ!」そう言うとベリタスと呼ばれていたエルフがスプーンの柄の先に少し取り舐めてみる。


「味も似ておるぞ!……なるほど、うん、うん……」一人頷きながら小皿に取って魔法で分析を始めてくれた。


 後で聞いたらベリタスさんはエルフ代表団の団長をされていて現エルフ国王の弟でもある偉い方なんだそうだけど、凄く気さくで優しい方だ。



「ちょうど良い所に来たようだな……」声に振り向くと商会の獣人の方々が居た。


「レノさんだ~!」シリウスは嬉しそうに手を上げて挨拶し私も隣りに詰めて座ってもらう。


「今回うちの商会が来たのはフェデルタ王のためだけじゃないんだよ……ここはスパイスの産地なんだが年々、流通量が減る一方でな。前々から視察に来たかったんだよ……まったく貴重な生産地に無茶しやがる……こっちに着いてから、ずっと探しているんだが俺達だけでは魔族領近くまでは心許ない、エルフの旦那方に護衛を頼みたいんだが……シリウスの手が空くまで待ってられねぇんだわ」


「下手にシリウス殿や古竜様が行かない方がいいかもしれませんよ?」ニクスさんが考えこんでいた。


「なんで〜?」


「何度も言いますが、あなた方の膨大な魔力に魔族達が黙っているとは思えません……迂闊に刺激しない方がよいです。今はただでさえ、やる事が多いんですから」


 そこへ、隊長さん達もやって来た。後ろには、ココちゃんとカイル、オルデン王子とブルーノ君も居る。


「王から連絡が入りました。我が国とアシエール国が和平締結しました! 戦は、もう終わりです!」





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