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異世界召喚研究者

 


 私は起き上がると部屋を見回した……ケットシー達は思い思いに好きな場所で寝ていたが一緒に起き出して来た。


 もう一度、見知らぬエルフ達を見つめた。


「……ど、どちら様でしょう?」今日は目覚めが悪いかも……


「昨日、隊長さんが言ってた……召喚魔法を研究してるエルフさんだって……外で待っててって言っても聴こえてないみたいで、ずっと居たんだ…」シリウスは、ため息をつくと顔を洗いだした。


「……こわ…」


「まずは、ごはんしよ~」


「……だね、コーヒー飲まないと無理………」




 今日も皆で食堂に向かうが、見知らぬエルフ達もついて来た……首筋に視線が刺さるような……



 食堂に入るとニクスさんとメーアさんが隣りにやって来て、後ろのエルフ達をチラッと見ると、ため息をついた。


「もしや……起こされてしまいましたか?」


「……おはようございます」私は寝ぼけながら頷いて、ボ~っとしたままスープを取りに行った。


 メーアさんがついて来て、そのまま隅のテーブルにつくと私とシリウスの隣りに座り向いの席にニクスさんとアピスちゃんが座り、さらに古竜お爺ちゃんとケットシー達が座る事で先程のエルフ達から距離を置いてくれた。


「まことに申し訳ない! まさか起こしに行くとは……」


「目が覚めたら……顔を覗き込んでました…ちょっと、怖かった……」


 メーアさんは息を飲むと「何という失礼を!……後で注意しておきますね」


「彼等はエルフ生の大半を召喚魔法研究に費やしてきた者達で……まさか生きている間に召喚者に実際に会えるとは思ってもいなかったのでしょう……特に、あの三人は取るものもとりあえず駆けつけたそうで…残りの者達は、これから到着します」



 私はバゲットサンドの後に濃厚クリームブリュレを出し皆にも勧めた。


「私が寝落ちしたら、部屋に運んで頂けますか? 誰でも入れる所は、もう……」


「もちろんです! 私と姉で、お守りしますので……では一応、紹介いたしますね」


 メーアさんが頷いている……この対応………あの三人、到着した時からやばかったのかな?



 ニクスさんの合図に三人のエルフは駆け寄って来た、本来なら椅子を勧めるところだが敢えて、このまま紹介する事になった……礼儀作法に厳しいメーアさんも何も言わないとは……


「こちらがオルド様です」他の二人より小柄で可愛い顔立ちだが年長なのだそうだ大きな紫色の瞳で、私の顔を覗き込んでいたエルフだ。


「こちらがセイド様です」背が高く黒髪に鮮やかな切れ長の青い瞳でじっと見つめられると落ちつかない。


「そして、こちらがフォンス様です」金髪碧眼で、いかにもエルフって感じだが私から、ほとんど目を離さずにずっとメモをとっている……それで後でも読める文字が書けてるの⁉


「やっと御挨拶できました~! 早くお会いしたくて駆けてまいりました~」


「今、召し上がられているのが異世界の甘味ですか?」


「先程から見ていましたら詠唱も無く、息を吸うように魔法を使われている……」


「……あの、よろしくお願いします…」


「まだ、お食事中なので後程」ニクスさんが早々に三人を連れて行く。


「圧が凄い……」私はため息をついた……ただでさえ人見知りなのに、恐いわ。


「怖かった……」シリウスは背中の毛が少し逆立っている。


「申し訳ないです。まさか、これほどとは……」


「いつでも、一口じゃぞ?」古竜お爺ちゃんが笑い声を洩らした。


「お爺ちゃんたら……大丈夫だよ~」お爺ちゃんの冗談には癒されるわ……



 今日も食材の補充と、お弁当にはメンチカツとコールスローサラダ、アスパラのベーコン巻きに、かぼちゃの煮付けを出し、ケットシー達と古竜お爺ちゃんにキスルンルン飴を出してから池を見に行く。



「まだ半分位ですかね?」


「まだまだ大丈夫じゃな〜」


 昨日、寝落ちして露天風呂を作れなかったので今日は先にやっちゃおうかな……



 食堂の左側の建物も、空いたそうなので脱衣場にして裏手に露天風呂を造ろうか……が、行く先々に三人のエルフが出没し何かと声をかけて来る……


 ニクスさんとメーアさんだけではブロックしきれずケットシー達も遮ってくれるが必ず一人は突破して来るので、私もシリウスも集中し辛い。


「……まいったね、何処に居ても視線が突き刺さってくるわ……」


「……動物園のパンダさんも、こういう気持ちになったのかな~」


「それね! ちょっと私も思った……部屋に戻ったら鍵、閉めてね?」


「うん、ぜったいかける!」



 私が寝落ちするまでエルフ·トリオとの攻防は続き、ニクスさんもメーアさんも疲れ果てたが、エルフ·トリオは元気なままだった。




 目が覚めると約束どおり部屋のベットで寝ていた。


 シリウスとルーチェちゃんとミルトと古竜お爺ちゃんが一緒に寝てくれていた。


「…………居る…ね……」すでに、閉じた扉から圧が……


「うん、居るね……」


「……どうしたものかな……」いつもなら起きたら、すぐ食堂に向かうのだが、しばし考える。


「いっそ……いっぱい手伝ってもらって忙しくさせちゃう?」


「それ……いいかも~」



「……あなた方は! ちょっと目を離した隙になんですか!」メーアさんの声が………いっきに扉の前がにぎやかになったな。


「……とりあえず起きようか…………」





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