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給料日前の冷蔵庫のような…

 拘束された魔道士達は、せいぜい数百人というところかな? これで国扱いしてたのか……


 こちらは少ない人数でも最短で制圧できた事で怪我をした者も無く一安心だ。


 古竜お爺ちゃんとケットシー達にエルフ達と、魔法の得意な者が揃っているので制圧事態は、あまり心配していなかった……本当に大変なのは、ここからなんだろうな……私は、御飯とスイーツ位しかできないしね。




 捕虜や兵達の間から、ブルーノ君が走り出て来た。


「オルデン王子! 無事だったんですね!」


「勇者様……王子を助けてくださり、ありがとうございます!」


「人質にされているのを見て心臓が止まるかと思いましたよ! 本当に無茶をするんだから」

 私は思わず力いっぱい抱きしめると、オルデン王子を見つめた……怪我も無く、思ったより元気そうで安心した。


「心配を御掛けして、すみませんでした……話しはブルーノから聞きました。助けに来てくださり……ありがとうございました」


 ルーチェちゃんとミルトがシリウスに促されて側にやって来た途端、顔を赤らめていたオルデン王子が二匹の前に跪いた。


「ルーチェ殿とミルト殿が知らせてくださったおかげです、ありがとうございました」


「無事で良かった……」ルーチェちゃんは少し照れたように微笑んだ。




 私は安心すると、涙をオルデン王子に見られないように隊長さんを振り返った。


「寝落ちする前に食料の確保しときます?」


「それは助かります……こちらです」


 隊長さんに案内されて少し離れた建物に入っていった。



 上空から見た時は建物が密集しているように見えたけど広場に面した建物で、大きめの日干しレンガ造りの平屋で、周りには幾つか灌木があるだけだった。



 どうやら、もともと食堂として使われていたようで、二十人位は座れそうな木製の長机と長椅子が何列も置かれている。


 床には、すり減って柄もぼやけて赤茶けてしまった絨毯が敷かれ、天井からは色つきガラスのランプが幾つもぶら下がっていて壁にも煤けたタペストリーがかかっているが、全体的に埃っぽく古びた印象の部屋だった。


 よく見ると配膳場所には歯車が幾つも設置してある……



 奥の厨房に入ると大きな鍋や洗い場、煮焚き用の釜戸とパン焼き窯があった……さらにその奥に食料貯蔵庫があったが、ここにも何に使うのか歯車のついた装置のような物があった。



「…あの歯車とか……何に使う物なんでしょう?」


「配膳や運搬用ですね…」機械化してたのか……



 それにしても常温保存できる根菜類に小麦粉に油にハーブ類、そして沢山のスパイスだけ……


「……これだけしか使っていなかったんですかね?」


 隊長さんも私の後ろから、のぞき込むと「確かに、うちの隊より少ないようですね……狩猟といっても、ここら辺りは獲物も少ないでしょうし……」


 先程、見た魔道士達の姿を思い出すと、まるで出家して托鉢だけで食べている僧侶のように痩せた身体つきだったような………まったく…………言葉もないわ。


「出来るだけ調理の出来る人を呼んでいただいた方が……」隊長さんは頷くと足早に出て行った。




 私がいつ寝落ちしても大丈夫なように先に今ある食材の量を増やしていく。


 そこに、やっとキスルンルン飴を配り終えてシリウスが戻って来てくれた。


「見て……ここには、あまり食料が残ってなかったんだよ」


 シリウスも貯蔵庫を見回すと「まるで給料日前の冷蔵庫みたいだよね?」


「だね~」私は思い出して噴き出してしまった……そんな日もあったね。



 シリウスのアイテムボックスからも保温ポットを出してもらう。




 じきに隊長さんが三十人程を引き連れて戻って来た。


 見ると宿のおばさんも居た……私とシリウスは駆寄ると、おばさんの手をとった。



「怪我はありませんでしたか?……無事で本当に良かった!」


「まあ!勇者様達じゃありませんか⁉ 助けてくださったんですね…」さすがに、やつれた顔をしている。


「…もしかして……皆さん食事は出てましたか?」なんと水だけだったそうだ……あの貯蔵庫の様子ではね……


「では先に食事してください! どなたか机を拭いておいてくださいね」




 私とシリウスは手早く食器を出すと水とミルクとポトフにバゲットを出して皆にすすめた。


 皆が食べ出して、ようやく私も落ちついて変性させていく……


 後は消化のよい物は……じゃが芋と玉ねぎ、人参にベーコンとチーズを入れたスパニッシュオムレツとフルーツゼリーにプリンを出してみる。


「食べながら聞いてくださいね。本当なら、すぐに御自宅にお送りすべきなのですが……今ここには千人近い人が居て、なおかつ事後処理にあたらねばならず私だけでは全員分を用意出来そうにありません、お手伝いをお願い出来ませんか?」


 皆、口々に承諾してくれてホッと息をつく。

「私はこちらの料理をあまり知らないので、宜しくお願いします」




 まず、ロールキャベツにしよう。片側だけ折り込んで巻いて反対側を押し込むと爪楊枝とかで留めなくても以外とほどけないし、気が付かないで食べちゃわなくていい。


 ここにはエルフ族と獣人族など多種族が居るので味付けも三種類の味で、トマト味とクリームソースの二種には具として人参とじゃが芋と玉ねぎも入れる。もう一つはダシ醤油味で里芋に人参、レンコンなどの根菜類を入れたものにする。


 ブロッコリーとアスパラと茸のソテーにパルメザンチーズも出しておこう。


 それから唐揚げに海老フライとコロッケ、一口ハンバーグにポテトサラダとナポリタンを出し弁当箱を出して一つ詰めてみる。これなら持ち場を離れられない人にも届けられるだろう。


 後はローストビーフとロールパンにベイクドチーズケーキとコーヒーに紅茶と。


 リンゴとオレンジとバナナも大量に出す……まだ足りないかな? と思いながらも私は寝落ちしてしまった。







11話目が10話と同じものを上げているのに、やっと気付きました。

本当に申し訳ないないです(アセ、アセ!)改めて11話をアップ致しました。

お時間有りましたら読んで頂けたらと。

今後、このような事がないよう気を着けます。

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