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魔法国

「魔法国って、どんな国なんですか?」この中で一番、知っていそうなニクスさんの顔を見ると、顎に手をあて考え込む。


「どこから話せばよいか……そもそも今でこそ魔法国と言ってますが、正確には国ではないのです」


「ヘッ?」


「昔から、あの一帯は魔法に使う薬草が多く分布していたため薬草採取に魔道士

 達がよく訪れていたのですが、近くに魔族の領土があり、魔獣も出没するため魔道士達が安全のために小さなコロニーを形成していったのが始まりです……時と共に魔道士が増えていくにつれ、才能のある魔道士を集めるようになり『魔法探求の道の導師』なる者が現れ、一気に国のような様相になっていきました……この頃は、まだ魔法を純粋に探求しているように見えたのですが、段々と魔法研究には金がかかる事から魔導具や魔法兵器を売るようになり、いつしか狂信的な集団に変貌していったのです……ただ今のところ兵器などは、アシエール国くらいしか購入していないのが救いですね」


「……そういえば先程、王が魔導兵器が遅れているとか言ってましたね」


「そのような事が……なんにしても実態の、つかみにくい所ではありますね…」


 国と称していても領土があるわけではなく、魔族領との境のアシエール国領土に間借りしているようなもので、そもそもがアシエール国の庇護がなければ成り立たないのだそうだ。


「国じゃなかったんですか⁉……じゃあ、このまま皆で突撃しちゃえば…い…い……」そこで私は、またもや寝落ちしてしまったのだった。




 目が覚めると慌てて飛び起きた。


 寝ている間に着陸していて、既に日が暮れて月明かりに草叢が見える。



「うわッ! また肝心な時に寝てしまった……ごめん‼ 今から突撃しよう、すぐ用意するね」


「却下です‼」


「え〜?」


「え〜っじゃありませんよ! タイミングよく寝てくれたから良かったものの、あなた方三人が暴れたら、草一本残りませんよ? ここは、まだ魔法国からは距離があります」


 私の横に座っていたシリウスと古竜お爺ちゃんの顔を見ると、げっそりしている。ケットシー達は少し離れた草むらで丸くなって寝ている。


 まさか……私の寝落ちの間、ずっとお説教されてたなんて事………ないよね?



 私が思わず姿勢を正して座ると、ニクスさんが私の前に座った。


 お説教されている場合ではないだろうと口を開きかけるが、ニクスさんにひと睨みされて、また閉じる……まいった、こうなると長いんだよな~これさえ無ければ良いエルフさんなのに……そこへ藪を掻き分けて、ブルーノ君がやって来た。


「ああ……良かった~やっぱり勇者様達でしたね!」


「えっ? ブルーノ君⁉」


「どうして、ここに?」


「ずっと、オルデン王子の後をつけて来たのです……もともと僕達は捕まった村人達はアシエール国に送られるものとばかり思っていたので………アシエール国王の前にオルデン王子が出て話す予定でした……しかし魔法国に入ってしまい、為す術もなく途方に暮れていたところ、強い魔力の波動を感じまして………きっと勇者様達だと思ったのです、お会い出来て……安心しました」ブルーノ君は、ホッとして額の汗をぬぐうと微笑んだ。


「ああ、やはり……」ニクスさんは苦々しく頷いた。


「私が今お話ししようと思っていた事にもなりますが、そもそも御三方の魔力は膨大で離れていても丸分かりなのです! 隠しようもありませんよ」ニクスさんはブルーノ君を見ると微笑んだ。



「それにしてもブルーノ君、よくわかりましたね? 魔法国とは距離があるのに」


「あの……僕は以前は魔力は無かったのです」ブルーノ君ははにかむと、うつむいてしまった。


「それが勇者様達にお会いしてから徐々に……なんというか、お会いする度に身体から湧き上がっていくようで一度、ご相談しようかと思っていたところです…」



「ブルーノ君は成長期ですからね……強い魔力に刺激されて覚醒したのですね。これからは魔法訓練も、していくとよいでしょうね」


「えっ?……僕は魔道士になれるのですか?」ブルーノ君は驚いて目をまんまるにしている。


「そうです……最初の基礎が大切なので落ち着いたら、よい師を探しましょう」



「覚醒したばかりのブルーノ君にも、わかる程の魔力だという自覚をお持ちくださいね! 距離を取ったつもりでしたが魔法国には既にばれてますね……どうやって救出するか………」ニクスさんは、また私達に念押ししてきたが、私の認識が甘かったか……えてして当人にはわかりにくいものだよね。



 焦ってもよい事はないと、食事をしながら作戦を考える事になった。


 ケットシー達も起き出してきて、シリウスがアイテムボックスから食器を出してくれる。



 つまみやすいように、ハンバーガーにレタス入りホットドッグ、ミネストローネスープとシュークリームを出していくと皆、一斉に食べ出した。


 ハンバーガーを三個食べてホットドッグに移ったブルーノ君が「あの…僕に、わかった位だから魔法国側にも露見しているって事ですよね?」


 皆がモグモグしながら頷いたり「うん」と言うと………



「では勇者様達に魔道士達を引き付けもらって、その隙に残りの者で救出するのは?」


「陽動作戦ですね!」ブルーノ君てば! その手があったか、ありがとうね〜





いつも、ありがとうございます。

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