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スパ·スパダリ

 毎日オルデン王子とブルーノ君が遊びに来たり、王に会うため王城に行ったりと起きてる時間が短い人間にしてはアクティブに過ごした。


 最初は王城に行く時に古竜お爺ちゃんに乗って行って、城の塔の上に着陸していた。


 私も透明にならないなら大丈夫だったし……


 実は密かにフライトを楽しんでいた、でも初飛行があれだからね…絶対に言わないし、さとられたくよね……




 じきに馬サイズのままなら街中を歩いて行ってもよいと許可されてしまった。


 もう王都の人達も古竜様の存在を知っている上に、受け入れられてしまったそうだ。


 たとえ戦が起こっても古竜様が居れば安心だし、私が居れば古竜様自体も大丈夫だろうと思われているらしいと、隊長さんから聞かされて驚いた………

 皆、慣れるの早くない?




 そうして王都に来て一ヶ月半が過ぎた頃……

 シリウスが「少し起きていられる時間が伸びたよね~」そうなのだ、二時間程が四時間程になっただけだけど……先は、まだまだ長いな…


 私は今日も、こっそり並走してくる鷹達を見た。鳥達は、いつも古竜お爺ちゃんに挨拶しに来るのが何か格好いいんだよね……


 シリウスが唐突に耳元で囁やいた。「僕の事、信じてるよね」


 私は急にどうしたのかと、シリウスの顔を見ると目が悪戯っぽく笑っていた。




 嫌な予感が……って頭をよぎる間に、シリウスに腕を掴まれ、そのまま空中にダイブする‼



 もう叫びまくったけど風圧で自分の声すら聞こえないし、パニックで何も考えられないのに地面は、どんどん近づいてくる!!!!!


 どうすんだよ~って、もう半泣きだったけど、徐々に落下スピードが緩やかになったかと思うと地面に足がついていた……


 私は、その場にへたり込み喘いだ。




 じきに古竜お爺ちゃんも近くに着陸して、歩いて来た。

「どうじゃ楽しかったかのう?」


「…シ…シ…リ…ウス〜」


「事前に言ったら無理って言うだけだし……大丈夫だったでしょ? 僕達、状態異常耐性があるから墜落しても人型の穴ができるだけで、怪我しないしね~」


「ウソ〜だからって飛び降りる?」


「これ、シリウスよ、打ち所が悪ければ少しは怪我もありうるぞ?」


「もう、お爺ちゃん! 僕が怪我させるわけないの知ってるでしょう? 人型の穴は冗談だから~」


「何で急に?……まったり、のんびり異世界ライフじゃなかったの~?」


「前から考えてたし〜まずは自分の能力に慣れてもらわないと使う事もできないでしょ?」


「だからって……鬼か!」


「ずっと何もできなかったんだよ? 一緒に遊びたいだけなのに…」


「これ……遊びの範疇じゃないじゃん」




「僕のこと……嫌いになった?」シリウスは目をウルウルさせながら首を傾げ見つめてくる。


「ゲホッ……」あれか、既に肉球の上で転がされてるのか? そうなのか?……


 考えて見れば、一日の半分は一匹で留守番していて遊ぶのも、すぐ疲れてしまって思い切り遊べた事が無かったのだ、思い出しても泣ける……


 遊びというには、ハード過ぎる気もするけど、まだまだやんちゃ盛りの男の子……腹をくくって、付き合いますか……




 それからは毎日スカイダイビングですよ「習うより慣れろ、だよね~」ってシリウスは笑っているし……マジ、シリウス鬼!


 こやつ……たまにスパ·スパダリなんだよ、スーパースパルタダーリン(泣)


 私も何とか逃げようとするけど、寝てる間に上空に出られてちゃ抵抗もなにも、ありはしないわけで…結局………慣れた。




 もう高さとか気にしなくなったっていうか、いかにスムーズに着地するかって考えてる自分に驚いた。


 何故か古竜お爺ちゃんも上空でアクロバット飛行はするし、途中で私達を再度背中に乗せたりとか、アクション映画さながらだ。


 たとえ着地前に寝落ちしてもシリウスが何とかしてくれてるみたいだしね………




 何故だか、ルーチェちゃんとミルトも加わるようになった。


「木から飛び降りるのとは比べものにならないの! すっごく楽しい!」普段から風魔法で飛び回っていたらしいルーチェちゃんも興奮しきりだった。


「この楽しみを知ってしまったら、もう……」首を振りながらミルトも同じ位、興奮さめやらぬって感じだ。




 さらに他のケットシー達もダイビングに参加するようになった。


 ケットシーの郷でシリウスが、オークを村に送ってしまった時に手伝ってくれたケットシー達だ。


「シリウスといると退屈しなくていいよな」と兄貴分の黒毛のカイルが笑ってやって来た。


「シリウスは、おもしろい事するよな~」弟の、キジトラのレオンも後について来る。


「まったく! 何かんがえてるんだかね~声をかけなさいよね」姐御肌の長毛の三毛のミミねーさんに「ほんと、みずくさいったらないわね」と灰色の雌のココに、ココの従兄弟の灰色のラークと赤茶色のデュー。


「ぜったい、おもしろい事やるんだろ? まぜろ〜」


「ひとりじめ、ダメ!」とシリウスに文句を言っている、仲良いよね…




 モフモフだらけで私は、めちゃ和むんだけど……ここは天国か? モフモフ天国。


 上空に出ると、その高さに思わずレオンが息を飲んだのが聞こえた。


 その反応の方が普通だよね? 私はレオンの肩を抱いて、うなずいてしまう。


「シッポを持っててやろうか?」ニヤリとしながら、ミミねーさんが言うと……なんか、すっごく包容力を感じるんだけど。


「へ、平気だし……」きっと顔が紅くなってるよね(笑)




 それからも日毎にケットシー達が増えていく………


 いつの間にか、カイルがシリウスの補佐役になっていた。私が起きている間は、シリウスが付きっきりになるため、その間シリウスに代わって忙しく働いているらしい(笑)




 じきに皆ダイビングに慣れて「にゃあ~!」「ニャッ!」「にゃ〜ん!」などと掛け声(?)を上げながら三匹とか六匹とかで、まとまってダイブしていく。


 やっぱり、ケットシーって、やんちゃなのかな?


 猫は寝てるって印象が強かっただけに、ケットシー達のアクティブさに驚いてしまう。




「ダイビングするには、まず風魔法が使えないとなんだけど、みんなすっごく風魔法を練習して、来てるんだよ。風魔法で、こんな遊び方ができるのかって喜んでたよ〜」


「普段、風魔法ってどういう時に使ってたの?」


「一番は狩りよね~後は早く移動するとか……」ルーチェちゃんが顎に肉球をあててるのが可愛いい。


「これは、お爺ちゃんが居ないと出来なかったよ? さえぎる物が無いとか、あと高さも大事だしね~」確かに、ダイビングスポットって限られるってテレビ番組で見た事あったわ………




 テレビ……………そういえば、シリウスはいつも私と一緒に見てた‼


 画面が動くからなのかな? と思ってたけど……でも推理系ドラマや映画で『犯人はお前だ!』ってシーンになると座りなおして見てるのが不思議でしかたなかったんだよね……今なら解る……理解してたのか~‼




「まさかとは思うけど……ダイビング以外の計画とかも…あったりする?」私は恐る恐るシリウスの顔をうかがった。


 シリウスは特大の笑顔だけで、何も言わない……………終わった……私の、のんびり異世界生活(泣)











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