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やっと、お風呂ですよ

「それにしても、お主の魔力も魔法も型破りじゃな~わしも初めて見るぞ……お主達に付いて行くのは、心配なのもある」


「心配?」


「人の寿命は短い、あっという間に居なくなる……人間と距離を置けとは言わぬが、それに馴れるまでには時間も掛かるだろう。シリウスだけでなく、わしやニクスが居る方が良かろうて…」私は思わず絶句した。すでに人の範疇を越えたと?いきなりの人外宣告、それでも古竜様の縦に長い瞳孔は優しげだった。


「……お爺ちゃん〜」私は思わず古竜様に抱きついた。


「ありがとうございます、これからは、お爺ちゃんって呼んでも?」


「もちろんじゃ! して、お代わりは良いか?」台無しだから! もう、ぜんぜん台無しだからね、今の感動を返して〜




 私が睨みながら身体を離すと全身が緑色になっている! もう二度見したわ! 苔か〜緑色の竜だとばかり思っていたわ……


 シリウスとニクスさんは私の姿を見て笑い出した。

「だって、君の顔ったら~」

「悪気はないのですが、プ、プッ…」そうですか、良かったですね~


 二人には、ガッチリ洗うのを手伝ってもらいますからね。もうベッタベタですよ!




 私もずっとお風呂に入りたいの我慢してたってのに~って……あれ? 考えたら、いけそうかな? 湯船………


 とりあえず先に、お爺ちゃんを洗ってしまおう。先ずはシリウスに水をかけてもらう。


 変性させた大きめのブラシの一つを、ニクスさんにも渡すと、先に出しておいた石けん水をつけながら擦っていく。


 最初こそ腰が引けていたが、気持ち良さそうに「おお〜! そこそこ!」とか「もう少し強く頼む」とか言って、こちらの指示で右に左にと身体を傾け最後は仰向けで、へそ天にまでなってくれる。


 こうして見ると可愛い、お爺ちゃんなんだよね~後でミルクでも出してあげよう。




 そうして最後に、もう一度シリウスに水で流してもらうと、まあ! なんという事でしょう~


 陽の光にも眩しい程の綺麗な碧い竜の姿があった。鱗の付け根が濃い紫色で、先端に向けて青くなっていく……少し孔雀の羽根を思い出した。


「神々しい御姿です~」て、アピスちゃんもパタパタと周りを飛んでいる。


「まさに伝説の御姿です」ニクスさんも額の汗を拭いながら誇らしげだ。


 いい仕事したわ~お爺ちゃんとシリウスとアピスちゃんにはミルクを、ニクスさんと私はアイスコーヒーで一息入れる。




 さて……湯船ですよ! さっそく岩を湯船に変性させると、シリウスから待ったがかかった。


「お風呂か〜ちょっと考えさせて」あれ? 湯船があれば良いと思ってたんだけど。


「なに言ってるの、覗かれたらどうするの?」


「そんな人居る?」


「「あまい!」」シリウスとニクスさん二人から怒られた~アピスちゃんも腕組みして首を降っている。


 だって私の事、男の子だと思ってた位だし(それは隊長さん限定らしいけど)……ベタベタで早く入りたいんだけど、ダメですか………私はしぶしぶ、その場で体育座りして待つことにする。




 シリウスは腕組みしたまま行ったり来たりしだした。


 そして肉球を合わせるとニヤリとして少し開けた所に行くと、まるで柏手を打つように三回、肉球を合わせる。


 見る間に三方に土の壁が迫り上がって来る。

「どうかな? とりあえず、この中に湯船を置いてみて」


 私は新たに湯船を変性さてみる……全体で四畳半位の広さで湯船を置いても、まだ着替を置く台やスノコを置いても、広々している。


「シリウス凄い! 完璧〜」


「じゃあ入ろっか〜」




 呆気に取られいるニクスさんを置いてシリウスが一緒に入ると、また肉球を一つ打つと目隠し用の壁が少し離れた所に出て来た。


 シリウスが水と火の魔法で、お湯をはってくれている間に湯船の横にもシリウス用の椅子を変性させる。


 私が家で長湯する時は必ず扉を開けて入って来て、浴槽の上に置いた蓋の上で寝て待ってるし、シャワーだけの時はドアの前で待つタイプだった(笑)

 自分がお風呂に入るのは嫌だけど、待つのも嫌なんだよね~


 着替をアイテムボックスから出しておき早速、髪と身体を洗う。


 シャンプーとかは水を一すくいして変性させる、本当に魔法って便利だよね~


 もっと早く思い付けば良かった。


 それから、ゆっくりと湯船に浸かる。思わず、うめき声がもれる。やっと入れた~




 青空と目隠しの壁との間から緑も見えて気持ちいいわ〜半露天風呂、最高〜


 入口からアピスちゃんが顔を覗かせる「…見て来てって……どんな感じ?」


 私は手招きして「アピスちゃんも一緒に入ってみます? 女子同士だし」


 アピスちゃんが嬉しそうに頷いたので、そっとかけ湯をしてやり様子を見る。

「ウワッ~気持ちい〜」大丈夫そうなので、ゆっくり湯船に入れると「温かいのね! こんなの初めて〜」後は目をつぶってプカプカ浮いてましたよ(笑)


 そうしてしばらくは、ゆったり、まったりプチ露天風呂を満喫した。


 村でシリウスが手に入れてくれた着替えは、ズボンとオーバーサイズの綿のようなシャツ。


 私が普段パンツスタイルが多いからなんだけど、このまま男装扱いでも動きやすい方がね……




 ホカホカで外に出るとニクスさんが口を、への字にして、あぐらをかいて座りこんでいた。


 アピスちゃんも両手を頬にあてて「ごめんなさい、忘れてた……すっごく気持ち良くて〜」


「……そうか、それは良かったね…」(棒読み)


 私は笑いをこらえながら「良かったら、ニクスさんもどうですか?」出る時に新しい湯に変えてもらっておいて良かった。


「いいのかい? それなら遠慮なく」ニクスさん急いでお風呂に入って行きましたよ(笑)中から、うめき声が聞こえる……万国共通なのね、うん。




 隣のスペースにも湯船とスノコに椅子と台と桶を二つずつ追加で変性させて配置してシリウスに、お湯をはってもらう。


 兵の皆さんも、お風呂に入れてなかったものね~私が離れてれば完全露天風呂でも大丈夫だよね?隊長さんに確認しよう。兵達は交代で(見張りとかあるので)入浴されましたよ。





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