第95話 ショッピングモール、帰り
「前回のクイズの答えは『一万円』だ!」
「今日は楽しかったねー」
家の中に入って、荷物をおろした瞬間に伸びをする水麗。
今はもう八時。
腹減ったな……。
「あ、お兄ちゃん、お腹空いた? 今からつくるからちょっと待っててね」
つくれるのか……疲れてないのかな……?
「えっと……、お前の体調が一番だからな? 疲れてたら別に大丈夫だからな。コンビニで買ってくるし」
「いや、お兄ちゃんがさ、私のつくった料理を美味しそうに食べてくれるのを見るのが好きなんだ。いっつもあんな美味しそうな顔してくれてありがとう。嬉しいよ」
まぁ、水麗の料理美味いもんな。
「そっか、じゃあお願いしてもいいか?」
「うん!」
水麗はそう言って手を洗いに行く。
元気だな……。
前と比べて、水麗の行動もおとなしくなったし。
前は『お兄ちゃん、私が食べさせてあげる! はい、あーん!』とかやってたのに、今は俺のことを見て微笑んでるだけだもんな。
水麗が俺のベッドに入ってくる日も減ったし。
初めはほぼいつも来てたもんな……。
……いや、一ヶ月に数回は来なかったな……。
まぁ、女の身体には色々あるもんな。
いくら兄でも、あれは見られたくないよな……。
あと一緒に寝ると、余計生理痛ひどくなりそうだし。
俺の寝相で水麗蹴ったらヤバいもんな。
でも最近は一ヶ月に数回くる程度だもんな……。
そのとき、俺のスマホが揺れる。
通知……?
『Rira』って人からメール。
誰だっけ……。
……思い出した! 俺が今日ナンパした人だ。
『こんばんは! 今日は話しかけてくれてありがとうございます!』
ナンパした人に『こんばんは』って挨拶するのか……。
すげぇな……。
俺もメール送るか。
「こんばんは。メールありがとうございます」
『どういたしまして! そういえば、康輝さんって学生ですか? 私は木川第一高校の二年生です!』
マジですげぇ……。
今日知り合った男に自分の学校とか教えちゃうんだ……。
俺も教えよっかな……。
別に教えても何の害もなさそうだし。
「楓野学園、一年です!」
『え!? 一年生なんですか!? 年上に見えたんですけど……』
そんなに老けて見えるか……?
見た感じ十七歳くらいかと思ったのかな……?
……この人って十六歳か十七歳ってことだよね……?
ってことは水麗の行動とかについて訊けるのかな?
「変なこときくんですが、もし義理の兄ができたら毎日一緒に寝ますか?」
……何訊いんてんだ……俺……。
ちょっと後悔してるかも……。
『一緒に……ですか……。それはないと思います』
ですよねー、普通。
まぁ、それも水麗の個性だし、色々な人がいるってことにしておこう。
「よくナンパした者と話せるな……。我だったら絶対無理だぞ……。ではクイズだ! 『冬乃は最初、康輝たちのことを何と言った? ①君 ②きみ ③キミ』。覚えてるわけないだろ……!」




