第89話 ショッピングモールへ
「前回のクイズの答えは『三十点』だ!」
「…………」
約束の時間。
俺らはショッピングモールに向かった。
入り口には水麗と美月がいる。
二人に近づくのに、二人は俺らに全く気付かない。
「えっと……水麗……?」
俺がめっちゃ近づいて水麗に言うと、水麗は俺の顔を見る。
『誰?』って顔してる……。
「……まさか……お兄ちゃん!?」
やっと気づいたみたいだ。
「あ、ああ……」
「どうしたの!? その髪の色!」
まぁ、そりゃ驚くわな、普通。
「ちょっとあってな……」
「おお! 大雅と皆嘉も変わっているではないか!」
美月も驚く。
なんかちょっと恥ずかしい……。
「よし! ここから今日の本番!」
冬乃が俺と水麗の間に入って言う。
「まず、プリクラとるよ!」
……へ?
プリクラ……?
プリクラってあれだよね……?
写真撮られて、ポーズするとき『今度はウサギさんポーズー!』とか言われるやつだよね……?
そして目がめっちゃ大きくなるやつだよね……?
あれをやるの……?
「プリクラか……中学からやってないな……」
美月は自分のあごを触って言う。
こいつ……中学のときプリクラしてたんだ……。
それとも女子ってみんなやるのかな……?
「まぁ、早速ゲーセンに行こう!」
冬乃が歩き出す。
俺らは冬乃を先頭にショッピングモールを進む。
みんなが俺らのことをジロジロ見る。
こんだけ派手だったらみんな見るか……。
「は!?」
俺は思わず大声を出す。
そのせいでみんなにめっちゃ見られる。
「え? 何かヤバいことある?」
冬乃は不思議そうな顔で俺を見る。
水麗と美月も不思議そうな顔をしている。
大雅は目を細くしてプリクラを撮る箱を見ている。
……アレなんて名前なの?
プリクラ撮る箱の名前。
まぁいいや。
皆嘉は苦笑している。
だって驚いてもしょうがないじゃん。
冬乃がさっき『みんなで撮ろっか、全員中に入って』って言った。
この中に全員入れるのか……?
六人いるぞ……?
「本当に全員入るのか……?」
「うん!」
結局俺は半ば強引に中に入れられた。
こんなことさえしなければ……。
「ハハハハハハ! なんだこれ! 傑作だな!」
大雅は爆笑する。
大雅はさっき撮ったプリクラの写真を見ていた。
「どれどれー」
水麗も写真を見る。
その瞬間、水麗も爆笑する。
美月も皆嘉も、冬乃もその写真を見て爆笑した。
なんで笑ってんだ……?
「康輝! お前の顔面……!」
大雅はまだ爆笑している。
そして俺に写真を見せる。
…………。……! 俺の顔面だけめっちゃ加工されている。
目がクリックリで、顔が小さくなって、白くなってる。
なんで俺だけ……!
「三人、変わったな……。ではクイズだ! 『水麗が作中で初めて康輝の母親がつくった料理を食べたのは第何話?』。かなり昔だな……」




