第88話 美容院へ
「前回のクイズの答えは『焼きそば』だ!」
日曜日、当日。
なぜか冬乃から『七時半に楓野美容院に来て!』ってメールが来た。
でも水麗は『十時に木川のショッピングモールに集合!』ってきてた。
木川ってのは地名ね?
ってかなんで俺だけそんな早くから……?
そう思いながら楓野美容院に行った。
冬乃がいた。
その他に、大雅、皆嘉がいた。
男だけ呼ばれた……?
「あ! 来た! ありがとう!」
冬乃が俺に手を振る。
俺は冬乃に近づく。
「なんでここに……?」
「あとでわかるよ! とりあえず、中に入ろう!」
冬乃がそう言って美容院の中に入る。
いや、なんで入るの……?
「えっと……どうする?」
俺が大雅と皆嘉に訊く。
大雅は面倒くさそうに中に入る。
「入るしかないみたいだな……」
皆嘉は苦笑し、中に入った。
ここで何されるんだよ……。
そう思いながら、俺も中に入った。
「この三人、お願いします!」
冬乃が美容師さんに言う。
この三人って……俺と大雅と皆嘉……?
「わかった、冬乃ちゃん!」
冬乃と話している美容師さんはニッコリする。
知り合いか……?
「……それと、髪は切らないようにしてください! ワックスはつけてください!」
いやいや、勝手にそんなこと言われても……。
俺、ワックスつけられるの……?
「そんな心配しなくていいよ! お代は無料だから」
冬乃は皆嘉の顔をのぞいて言う。
なんで『お代は無料』って言えるんだよ……。
ここはお前の家じゃねぇだろ……。
「そう、冬乃ちゃんのお客さんだもん。お金をとるわけにはいかないよ」
美容師さんはそう言う。
冬乃……お前……権力あるのか……?
そう思ってたら、俺の隣にその美容師さんが来た。
「まずはお荷物をあちらのロッカーにおしまいください」
いやいや、マジでやるの……?
「みんながシャワーやってるときに髪型考えとくねー」
冬乃は本棚にある雑誌を持つ。
勝手にそんなこと決められても……。
そのあと俺は荷物をしまい、シャワーをされた。
意外と気持ちいい……。
「ここからは目隠しね!」
冬乃が目隠しを持ちながら俺に近づく。
そして俺の目にそれをかけた。
そのあとなんか色々髪をいじられた。
「できましたよ」
美容師さんが言う。
そして俺から目隠しをとった。
前に鏡があるから、そこでどんな髪型になったか見よ……。
……! 誰だこいつ……。
鏡には髪が緑色、前髪が全部上に向いてる男がいた。
……この説明わかる……?
前髪がない状態。
おでこ丸出し。
……ってかこれ俺だよな……。
めっちゃ派手になってんだけど……。
「おお! 康輝かっこいい!」
冬乃が早速俺に言う。
かっこいいのか……? めっちゃチャラいんだけど……。
「……変わったな、お前」
隣から大雅の声。
隣を見ると、大雅と皆嘉がいた。
二人とも結構髪型が変わっている。
めっちゃワックス塗られてる。
そして髪染められたの俺だけ……?
「シャワーで落ちますから大丈夫ですよ」
美容師さんが俺に言った。
ならいいんだけど……。
いや、よくない!
髪の色が緑って……。
ヤバいじゃん……。
「康輝も色々と大変だなー。それより冬乃の権力がすごいんだが……。ではクイズだ! 『冬乃の期末試験の合計点数は?』。冬乃……」




