第79話 遅れた部活
「前回のクイズの答えは『三橋』だ!」
「遅れました!」
俺が部室のドアを開ける。
先生に何の出し物するかはあの二人に任せた。
「ちょっと遅すぎ!」
一人の女子部員の明田先輩が俺に文句を言う。
明田先輩は片手にスマホを持ってる。
「今日一緒に対局するって約束したじゃん!」
「えっと……ごめんなさい……」
言い忘れたけど、将棋部はめっちゃ人が少ない。
部長の酒井先輩と明田先輩、丸木先輩と結城先輩と俺が部員。
俺と酒井先輩以外は女子部員。
部員が合計五人って……。
「そんな怒んなよ。何か事情があるんだから」
酒井先輩が駒を整理しながら言う。
流石酒井先輩……。
「え? 何があったのー?」
結城先輩が右手に飛車を持ちながら俺を見る。
結城先輩は今、丸木先輩と対局している最中だ。
だから丸木先輩が『ちょっとー、私と対局してること忘れないでねー』って言ってる。
それでも結城先輩は俺を見ている。
「体育祭の出し物を決めろって……」
「そうだよね、俺も決めたよ」
酒井先輩がニヤリと笑いながら俺に言う。
俺も決めた……?
「俺も体育委員なんだ」
……え? 酒井先輩が体育委員……?
嘘でしょ……似合わない……。
「え!? 出し物何にしたの!?」
結城先輩が椅子から立ち上がって俺に訊く。
そして丸木先輩にめっちゃ睨まれてる。
「演劇になって……」
「あ! 俺らも演劇なんだ!」
酒井先輩がめっちゃ笑顔になる。
明田先輩は逆にいらいらしてる。
「ねぇ、いつ対局できるのー!」
ヤバい……そろそろ明田先輩が怒る……。
……? 窓から何か見える……。
キラッキラした服着てる女が踊ってる……。
ダンス部か……。
ってことは水麗もいるのかな……?
……いた……めっちゃ踊ってる……。
「ちょっと! 何ダンス部見てんのよ!」
明田先輩が俺の視界に無理やり入ってくる。
「まぁまぁ、康輝もダンス部の可愛い女の子に興味あるんだよ」
結城先輩がまた俺に訊く。
……そろそろ丸木先輩の逆鱗に触れる……。
「え……康輝ああいう人たちに興味あるんだ……」
明田先輩が俺を引く。
「え、いや、違いますよ!」
「妹さんがいるんだろ?」
酒井先輩も窓を覗いて言う。
……え……なんで知ってるの……?
俺……水麗のこと酒井先輩に言ってないよね……。
「なんで……知ってるんですか……?」
「結構有名だよ? な?」
「うん」
「確かに有名だね」
「まぁ……」
ええ……。そんなに俺有名なの……?
確かに俺、結構やらかしたら俺が有名になるのはわかるけど……なんで水麗が……。
……そういえば美月って何部なんだ……?
今度訊いてみよっかな……。
「いやー、久しぶりの部活だな。……そして今日は言うことがない特にない! ……それと、作者が今回の話しを書くとき一番迷ったのは、題名らしい。……言ってることわかるか? ではクイズだ! 『大雅の出席番号は?』。それと、次回は我が結構活躍するぞ!」




