第76話 家の前にいっぱいいた
「前回のクイズの答えは『第28話』だ!」
翌日
今日から弁当だ。
朝から水麗がつくってくれてる。
今も朝だけど。
「お弁当できたよー」
水麗が一階から言う。
俺は一階に降りる。
「はい」
水麗が俺に弁当を手渡す。
俺はそれをリュックにしまい、背負う。
「じゃ、行こ」
「ああ」
俺は靴を履き、玄関の扉を開ける。
「遊びに来たぞー」
超聞き覚えのある声。
俺のすぐ前に美月がいた。
俺は無言でドアを閉める。
「ちょっ! なんで閉めるの!? 酷くない!?」
美月が地声でなんか叫んでる。
水麗がその声を聞いて急いで玄関まで来る。
「お兄ちゃん! 今の声、美月ちゃん!?」
「いや、違う。美月があんな声なわけないだろ。それと、今日は玄関からじゃなくてベランダとかから外出ようぜ?」
「え……いや……美月ちゃんは……?」
「美月? 誰それ?」
「……全部聞こえてるぞー、康輝ー」
外から美月の声。
今度は地声みたいだ。
俺は仕方なくドアを開ける。
いや、だってさ、ドア開けて急に美月だよ?
文章だからあんまり伝わってなかったと思うけど、美月めっちゃ可愛いんだよ?
それがドア開けた瞬間目に入るんだよ?
みんなもドア閉めるでしょ?
「フフフ……!」
……? 誰だ……? めっちゃ気持ち悪い笑い方するのは。
……ってかこの声……?
「なっ! なぜお主がここにいる!」
美月が振り向いて怒鳴る。
そこには冬乃がいた。
確かになんでこいつ、俺らの家知ってるんだ……?
「あ! 気になるでしょ! 尾行してきたんだ!」
「尾行って……! 我をか……!」
「うん、気づかなかったでしょ!」
「ストーカーではないか!」
おお、美月がめっちゃ面白いこと言ってる。
「君たちさ……、朝なんだから静かにしなよ」
また聞き覚えのある声が……。
この頭が良さそうな声……。
冬乃の後ろに今度は霧宮がいた。
「あ、誰だか知らないけどメガネくんも尾行したの?」
初対面なのかな……?
冬乃……初対面にメガネっていうのか……。
でもメガネかけてる人のあだ名だいたい『メガネ』だよね……。
メガネかけてる人、すみません。
「僕がそんなことするわけないだろ。登校してる途中だった」
「またまた〜。隠さなくていいよ! 冬乃にはわかる! 照れ隠ししてる!」
「……頭悪そうだな、君」
「あ! よくわかったね!」
冬乃が笑いながら霧宮の肩を叩く。
冬乃……お前バカにされてるんだぞ……?
「……お兄ちゃん……早く行こうよ……」
水麗が疲れたような目で俺に言う。
確かに冬乃といたら疲れそうだな……。
俺が歩き始めると、霧宮も歩き出した。
すると水麗、美月が歩き始める。
「え、待ってよ〜!」
冬乃は走り出す。
なんだろう……最近で関係ができたやつ多いな……。
皆嘉、霧宮、冬乃……。
ああ、俺の周りがうるさくなりそうだ……。
……『うるさい』って言っても、昔とは違う『うるさい』だから全然いいけど……。
「冬乃……我のことをストーカーしてきた……! それと康輝! ひどくないか!? 急にドア閉められるんだぞ!? ……そんなことはおいておいて……クイズだ! 『サバゲーに行く前、美月は康輝の家に行った。そのとき仮面をしていたが、何の仮面だった?』。水麗がマジでビビってたやつだな……」




