第69話 皆嘉の家の前
「前回のクイズの答えは『ミホ』だ」
ドアが『ガチャ』と音を立てて開く。
そこから皆嘉が出てくる。
俺と水麗、大雅と美月は皆嘉の家の
「お! お前が皆嘉か!」
大雅が皆嘉を指して言う。
「皆嘉、そんな顔するな。康輝の親友だ」
「親友なのか……?」
美月の言葉に、俺は不思議に思いながら言う。
隣にはムッとしてる水麗がいる。
「水麗、なんか言うことあるんだろ?」
俺が言うと、水麗は無言で皆嘉に近づく。
「あのときは酷いこと言ってごめん! でも! お兄ちゃんを殴ったことはそっちが謝ってね!」
水麗……素直じゃねぇな……
「水麗、そのことについてはもう謝られた」
「…………」
水麗は無言で皆嘉を見ながら俺の隣まで歩く。
「皆嘉! 待ってよ!」
続いてドアが開く。
どこかの学校の制服を来た女。
「……? 今日集団登校?」
女は皆嘉に訊く。
「え、まぁ……」
「……そっか……」
女はそう言って足早にどこかへ行く。
「へー、妹か?」
大雅が面白そうな目で女を見ながら言う。
「まぁ……義理の妹だ」
「!」
水麗が驚く。
俺と水麗の関係か……
「……皆嘉、昨日俺と美月の前で電話してた相手って……」
「あいつだ」
やっぱり……声が似てると思ったら……。
義理の妹と兄の会話ってああいうものなのか……?
「……それと皆嘉、一つ頼みたいことがあるんだけど―――」
俺が言う。
「―――俺さ、昨日みんなの前で『皆嘉のおかげで笑ってられる』って言ったんだ」
「ああ、言っておったな。正直、意味がわからないぞ」
美月が目を細めて俺の顔を見る。
なんで目を細めるんだ……?
「ああ、だってその場の思いつきで言ったもんな。『みんな皆嘉のおかげで笑ってられる』なんて嘘だ」
「……酷くないか?」
……確かに……。
俺めっちゃ酷いこと言ってる……。
「ま、まぁ! これからその言葉を事実にする! つまり! 皆嘉が良いことをするんだ!」
「……例えば……?」
「例えば……。例えば……。例えば……。えっと……」
「……思いつかないのか……」
美月がため息をつく。
そんなことしないで……
「……! そういえばな! 皆嘉は結構強いぞ! 喧嘩」
美月が唐突に言う。
美月……ここで『喧嘩』って単語を出すなよ……。
反応するやつが一人いるだろ……
「お! マジか! じゃあ俺で試そうぜ!」
いつも通り大雅が喜ぶ。
「……でも待てよ……。お前が康輝と殴り合いしたとき、お前普通に負けてたよな? 俺見てたぞ?」
「あの戦いで本気出すわけないだろ……」
「よし! じゃあやろうぜ!」
大雅はリュックを投げ捨てる。
ここでやるのかよ……。
「また大雅が喧嘩しようとしてる……。そして特に言うことがない! というわけでクイズ! 『康輝たちがプールに行ったとき、水麗と美月が着替えてるときに変なおばさんに話しかけられた。そのとき何て言われた?』。こんなことみんな覚えておらぬだろ?」




