第68話 あのときの話
「前回のクイズの答えは『体育委員』だ!」
「……なんでだよ……」
俺はつぶやく。
「? 何が『なんでだよ……』だ?」
美月が俺の顔を覗くように見て言う。
皆嘉も不思議そうな顔をしている。
だって―――
「よし、では行くぞ!」
結局俺、皆嘉、美月で帰ることになった。
美月を先頭に歩いている。
……でも家の方向と違う……
「着いた!」
美月はとあるファミレスの前で止まる。
なんで……?
「ここで何か飲もう」
「いやー、暑いなー」
美月は制服のボタンを一つ開ける。
「なんでここに来たんだよ……」
「お主に教えたいことがあるからだ」
俺の独り言に美月が反応する。
教えたいこと……?
「我と皆嘉の関係だ」
ああ、それは気になってた。
それを話すためにここに来たのか……
「美月、それは俺が……」
「いや、我が説明する」
皆嘉の声をさえぎって美月は言う。
「始業式の日、我が帰ろうとしたら皆嘉が話しかけてきたのだ。『協力してほしい』って。だから我は皆嘉の言われる通りにした。それで……」
「……本当にいいのかよ……?」
皆嘉が美月に訊く。
美月は縄を持っており、皆嘉に笑いながら話す。
「ああ、演技をするなら全力でやらなければな。……そうだ! 我のこと、蹴ってもよいぞ?」
「いや、そんな……」
「……じゃあ演技で蹴ってくれ。そうすればお主が言っている『今から会うやつ』も少しは怒るだろ?」
「…………」
「わかったら行くぞ」
「……って感じだ」
……よく美月もそんなことに協力しようと思ったな……
「……わかってると思うけど、皆嘉はお主との喧嘩で手加減していたのだからな?」
「それはわかってる。あれじゃ弱すぎだし」
「……手加減のやり方がわからなかった」
わかる、どうやって手加減するのかわからねぇよな。
……なんか今の言い方すげぇややこしいな……
「それで、皆嘉がお母さんからもらったクマの人形を学校の皆に見られていじめになったのだ」
「……ムカつくやつらだ……」
「なんか……ありがとな……」
皆嘉がまた礼を言う。
だから礼なんか言われるほどのことしてねぇよ……
「明日皆で学校に行かぬか?」
美月、ナイス提案。
「確かに、水麗も大雅も皆嘉のこといじめてなかったし、みんなで行くか」
「水麗って……」
皆嘉が顔をかたくする。
……そっか、水麗と皆嘉、口論してたのか……
「冬乃! 一組でいじめがあったらしいよ!」
帰り道、女子生徒が一人の女子生徒に話しかける。
「え、マジ?」
「うん、一組の子から聞いた。他の人にも教えてくるー!」
女子生徒は走ってどこかに行った。
残った一人の女子生徒は歩きながら思った。
高校生になってもそんなことする人いるんだ……、と。
「どうだ? 我と皆嘉のやりとり。特に我が言うことはないな。ではクイズだ! 『夏祭りのとき、康輝が迷子の子の面倒をみた。その子の名前は?』。我そのときいなかった……。それと、火曜日は投稿できぬ。本当にすまぬ」




