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第66話 殴り

「前回のクイズこの答えは『ダイオウグソクムシ』だ。我は意外と好きだぞ?』

 「へー、ヒーロー気取りか」


 さっきの男子が言う。

 そして俺に近づく。


 「もしかして、かっこいいと思ってる? 想像以上にダサいぜ?」

 「マジキモ」


 男子に続き、女子が言う。

 他の女子はスマホを俺に向けている。

 録画してるのか。


 「今の言い方だと、『いじめていることを認める』ってことだな?」

 「ああ、テメェにはもう見られてるしな」


 男子は俺の胸ぐらを掴む。

 そして笑う。


 「ちょうど先公もいねぇしな、ド派手に暴れるか」


 男子はそう言い、俺の顔面を殴る。

 そしてまた殴る。


 鼻血が出る。

 それでも男子は殴る。


 俺は頬を噛んだ。

 口から血が出る。


 しかし俺は抵抗せず、黙って攻撃を受ける。


 そのとき、水麗が急に立ち上がる。

 俺のところに向かおうとしている。

 その顔は今までに見たことのない顔だった。


 「!」


 水麗は立ち止まり、振り向く。

 水麗の後ろに大雅がいて、大雅が水麗の腕をつかんでいる。

 大雅は無表情だ。


 「大雅……! 離して……!」

 「無理だ」

 「……よくそんな顔できるね……! お兄ちゃんが殴られてるのに……!」


 水麗……


 「お前が行ったところで変わらねぇよ。康輝を見ろ。反撃してねぇだろ? なんでかわかんねぇのか? 妹だろ?」

 「…………」

 「水麗、今は我慢しろ」


 流石大雅。

 俺の思考をわかってやがる。


 「よそ見してんじゃねぇよ!」


 男子はまた殴る。


 「……康輝……!」


 ヤバい……美月が限界かもしれねぇ……

 感情的になって殺さねぇかな……


 「……一回やめてくれねぇか?」


 俺は殴られながら男子に言う。


 「あ? やめると思ってんのか? ……ああ、そうだ! テメェが首吊り自殺すればやめてやるよ!」


 男子がそう言ったときだった。

 俺の頭の中で何かが切れた。


 俺は男子を蹴り飛ばす。

 男子が転んだとき、俺は男子の腹を踏む。


 そして顔面を五回殴ったあと、男子の胸ぐらをつかんで立たせる。


 そしてそいつを壁に打ちつける。

 そいつの首をつかんで、そいつが動けないようにする。


 「テメェ……ふざけんなよ……!」

 「は、放せよ……! 首が……!」

 「知らねぇよ……!」


 俺は手をそいつの首に近づけた―――


 「やめろ!」


 誰かが俺を蹴り飛ばす。

 大雅が俺を蹴り飛ばしたのか……


 「興奮しすぎだ。少し落ち着け」

 「あ、ああ……ありがとう……」


 俺は痛みを耐えながら立つ。


 「康輝!」


 美月がポケットナイフを投げ捨て、俺に近づく。

 水麗も俺に走って近づく。


 「本当にありがとうな……大雅……。危うく殺すところだった……」

 「…………」


 大雅は黙って、俺が殴ったやつに近づく。


 「テメェさ、殴る相手は考えてから決めろよ。殴りてぇなら死ぬ覚悟くらいしろよ。わかったら黙って康輝の話聞け。康輝、話の続き頼む」


 ……今の状況なら黙って聞いてくれるか……みんな……

 話しやすくなったし、やるか。

「康輝……痛そう……じゃあクイズ……『康輝は少食である○か✕か』。なぜ同じクイズを出したと思う……?」

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