表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/351

第60話 戻れた子

「前回のクイズの答えは『コーラ』だ! 最近飲んでない……」

 「ごちそうさま!」


 女の子が箸を握りながら言う。

 完食したみたい。

 そして元気も出たみたいだ。


 とりあえずよかった。


 「ミホー!」


 どこからか声がする。

 その声に女の子は反応した。


 「ママ……?」


 え……ママ……?

 ママがいる……?


 女の子はその方向に走る。

 今、その方向にはたくさんの人がいた。


 今行ったら確実に迷子になる。

 俺は女の子を急いで背負い、声が聞こえた方向に向かう。


 「ママー!」

 「ミホ? ミホー!」


 よし、あっちから聞こえた!

 俺はその方向に走る。


 ……あ、もちろん本気で走ってないよ?

 そんなことしたら女の子が怪我するかもしれない……


 しばらく進むと、髪が黒色で、浴衣を着ている女の人が見えた。

 あの人か。


 「あ! ママだ!」


 女の子が言う。

 すると女の人は人がいない場所に行った。

 ……いい場所だ。


 俺もそこに行き、女の子をおろす。

 女の子は女の人に向かって走った。


 「ママ!」

 「ミホ!」


 二人は抱き合う。


 「ごめんね! 離れちゃって!」

 「大丈夫。お兄ちゃんと一緒にいたから」

 「お兄ちゃん?」

 「うん、あそこにいるよ」


 女の子は、俺がいたところを指す。

 しかし、そこには俺はいなかった。


 木の陰に隠れたのだ。

 自分でもなんでこんな行動とったのかわからない。


 「あれ? さっきまでいたのに……」

 「? いないよ?」

 「い、いたよ! 焼きそば買ってくれたもん!」

 「え……買ってもらったって……」


 母親らしき人は申し訳無さそうな顔をする。

 別に金持ってないわけじゃないし、全然いいんだけど……


 「ママ! かき氷食べたい!」


 女の子は元気よく言う。

 よかった……


 「うん……じゃあ行こっか!」


 母親らしき人は女の子と手をつなぎ、歩き始めた。


 「あ! いた!」


 後ろから元気な声が聞こえる。

 今度は水麗の声だ。


 「お兄ちゃん、どこ行ってたの?」

 「へっほうははひたんひゃひょ?」


 美月が口の中に焼きそばを入れながら言う。

 口に食べ物を入れながら喋るなよ……


 今気づいたけど、美月、焼きそば持ってる。

 そして思い出した。


 あの子が食べた焼きそばのゴミを片づけなきゃ。


 「わ、悪ぃ。ちょっとあそこにゴミあるから、捨ててくる」


 俺はそう言って、歩く。

 そして置いてあったゴミを拾う。


 「よし」


 俺はそれを近くにあるゴミ箱に入れる。


 「おおー、えらいね!」

 「そうか?」

 「よし、ごちそうさま」


 美月も食べ終わったようで、ゴミをゴミ箱に入れる。


 「次! りんご飴がいい!」

 「食べ物ばかりだな……。まぁ、俺も食いたいから行くけど」


 確かに俺も食べ物は好きだけど……

 そんなことを考えていたら、水麗と美月が歩き出す。


 「―――もう迷子になんなよ」


 俺は女の子の行った方向に向かってつぶやく。


 「? お兄ちゃん、なんか言った?」

 「なんでもない」


 俺は笑い、歩き出した。

「康輝……ヒーロー感すごい……。それよりクイズ! 『皆嘉が廊下でいじめられていたとき、持っていた人形は何の人形?』。……わかる……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ