第52話 罠 ~康輝、水麗~
「前回のクイズの答えは『芽依』だ。誰だ……?」
「……お、でてきた!」
大雅が横を見て言う。
そこには二人の敵がいた。
そいつらは逃げるように走る。
……罠だな。行かないほうがいい。
「罠か」
大雅も気づいたみたいで、二人を見ている。
じゃあスルーってことで―――
「俺に罠を使うとはな!」
……大雅? お前、まさかじゃないけど行かないよな?
大雅はあの二人が言った方向に向かって走る。
……やっぱり喧嘩バカは罠だとわかってても行くのか……
全員で行くか?
それもそれでやばい気がする。
俺だけ大雅のところに行く?
いや、そうすると水麗と美月が撃たれる。
どうしよう……
「康輝、お主悩んでおるな?」
美月が俺の顔を覗き込むようにして言う。
その顔はなぜか自身に満ちていた。
「我が大雅のところに行く。そうすればいいだろ?」
「……別にあいつを一人にしておくって手もある」
「いくらあの喧嘩バカも四対一はキツイと思うぞ?」
「……任せていいのか?」
「ああ、任せろ。こう見えてもスポーツはできる」
美月はそう言って、大雅が行った方向に走る。
美月の言葉を信じるしかないか。
そのとき、銃声が聞こえた。
それと同時に、俺の背中に何かが当たった。
撃たれたか……
「あれ? 意外と当たるね。強いとか言ってた割には」
振り向くと、そこには敵が二人いた。
さっきとリーダーっぽいやつもいる。
「油断してただけだ」
「へー、強がりかな?」
「そう思いたいならそう思ってろ」
俺は銃をおろし、水麗に近づく。
水麗もあいつらを警戒しているみたいだ。
「水麗、勝手に触るぜ」
俺はそう言い、水麗を片手で抱く。
水麗はめっちゃびっくりしたあと、なぜか抱き返す。
「……水麗……?」
「お兄ちゃん……やるなら家で……」
「何考えてんだよ!? 俺がこの行動するってことは、結構危ないことするんだからな!」
「……へ?」
敵は『隙あり』と思ったのか、一気に俺と水麗に撃ち込む。
俺は水麗を抱いたまま走って、銃弾を全て避ける。
「お、お兄ちゃん……」
「じっとしてろ。結構危ないことをする」
俺は水麗を上に投げた。
結構高いな……
「え!? お兄ちゃん!?」
「今だ! あいつらをあの『佐藤』だと思え!」
作戦、水麗を怒らせる。
覚醒するかな……?
水麗は目を閉じて何かを考えてる。
……よし、覚醒しそうだ。
次の瞬間、水麗が目を開けた。
いつもより細い。
銃口を敵に向け、三発撃つ。
全弾敵に当たった。
二人は逃げようとするが、水麗がそいつらに向かって二発撃つ。
それも敵に当たり、そこで笛がなった。
水麗が今ので倒したのか……
水麗が一番強いかも……
一人は殺したものの、もう一人は逃げた。
惜しかったな……
「水麗……! 覚醒したぞ! よく全弾当てられたな……。ではクイズだ。『係決めで康輝は何回連続負けた?』。康輝……かわいそう……」




