第44話 可哀想な美月
前回のクイズの答えは『イチゴ味』だ」
「あー、めっちゃ食った」
「ほぼお前しか食ってねぇけどな」
水筒の中の水を飲む大雅に俺はツッコむ。
俺と大雅の食べた量を比で表すと五体一くらいか……?
まぁ、俺が少食ってこともあるけど……
「……我……全然食べてない……」
美月が地声で言う。
しかもめっちゃ泣きそうな声なんだけど。
まぁ、確かに悲しいよな。
あんなことあったら―――
「わ、我の分のはないのか!?」
美月が空になった鉄板を見て叫ぶ。
さっきまでそこには焼きそばがあったが、俺らが全部食べた。
「あー、お前の存在忘れてたからさ、お前の分残すの忘れた」
「酷くないか、それ!?」
大雅、確かにお前言ってること最低だぞ……
「じゃあさ、魚とってきてくれたらお前の分の肉焼くから。今俺さ、魚食いたいんだよね」
大雅、お前本当に最低だな。
「魚……わかった、とってくる」
「おう、五匹くらいな。その間にお前の分、焼いとくから」
美月はそのまま川へ走る。
そして、大雅は肉を焼き始めた。
「お、そろそろか」
肉を焼き始めてからしばらくすると、大雅は肉をひっくり返す。
そして、その肉を自分の皿に乗せる。
「? 大雅、それ美月ちゃんの……」
「大丈夫、バレなきゃ犯罪じゃねぇ」
「いや、バレるだろ。美月本当に食うものなくなるからやめとけ」
俺はそう言うが、大雅は次々に肉を自分の皿に入れ、食べる。
大雅が全ての肉を食べ終わったころに、美月がバケツを持ちながら帰ってきた。
「えーと……美月ちゃん、私のお肉とかあげるから……大丈夫だよ?」
「そうだ、俺のもやるから」
「いや、大丈夫だ……お主等の分がなくなってしまうだろ……」
「俺はもう腹減ってねぇし、食えよ。お前が持ってきてくれた魚と一緒に焼け」
「……ありがとう……」
美月はやっと少し顔を上げ、バケツがあるところに行く。
しかし、バケツの近くに行くと、美月の動きが止まった。
「……ない……」
「? 美月ちゃん?」
「魚がない……」
……え?
魚ががない……?
俺もバケツに近づく。
確かに、魚はなかった。
さっきまであったよな……
……まさか……!
俺は大雅を見る。
すると、大雅は焼かれた魚を食べていた。
「大雅! お前何食ってるんだよ!」
「しょうがねぇだろ。腹減ってるんだし」
「それ美月がとってきてくれたやつだろ! ってか、いつ焼いたんだよ!」
「やっぱり気づかなかったか。俺の特技はな、ものをめっちゃ早く焼くことなんだ」
何得意げに言ってるんだよ……
……あ、美月……
やっぱり……めっちゃ泣きそうな顔してる……
あとで何が買ってやろ……
「私の食べる分……。……クイズ……『一年一組の担任の先生の名前は?』……。……お腹空いたな……。それと、しばらくは日曜更新は無理そう……ごめん……」




