第42話 バーベキューの準備
前回のクイズの答えは『③』だ。康輝、少食だったのか……」
「ここだよ」
「看板見ればわかる」
俺らは近くに川がある、夏限定でバーベキューができる場所に来た。
……語彙ないからこの説明で許して……
「食材は向こうで売ってるって。私、買ってくるよ」
水麗がそう言い、どこかへ行く。
……あいつ、準備やりたくなかったのかな……
「炭はここにあるから早く準備しようぜ」
大雅が荷物から黒色の袋を出す。
多分、炭が入っているのだろう。
「なんでそんなもの持ってるんだよ……」
「喧嘩バカは変なものを持ち歩くのか……面白いな……」
美月も言っちゃったよ、『喧嘩バカ』。
しかも美月は大雅を変な目で見ている。
なんか……生物を観察するみたいな……
「持ち歩くわけないだろ、こんなの。さっきもらったんだよ、受付の人に。わかったらさっさとこれ中に入れるぞ」
大雅はそのまま、袋の中に手を入れる。
……手を入れる……? 中には炭が……
「……! お前バカか! 中に炭入ってるんだぞ! 軍手くらいしろよ!」
「は? 炭って手に付くの?」
「めっちゃ付く! 鉛筆の芯とか手に付いただろ!」
「……鉛筆……あ!」
大雅はやっと気づいたらしい。
本当にバカだな……
「ヤベ!」
大雅は袋から手を出す。
……なんでまだ炭掴んでんだよ……
放せよ……
そして、腕を上げたあと―――
「ほら、遅れたけど誕生日プレゼント」
大雅は俺に向かって炭を投げる。
めっちゃ速いから、多分本気出してるだろう。
これはキャッチしたら俺の手が汚れる、しかし俺が避けたら他の人に当たるかもしれない。
どうしよう……
仕方ない……
俺は炭を受け止める。
ゴツゴツしてるから結構痛い。
「おー! ナイスキャッチ!」
「何が『ナイスキャッチ!』だよ! 危ねぇだろ!」
「んな怒るなよ」
大雅はそのまま炭を台に入れる。
……台ってあの……肉とか焼くところ!
わかる? わかるよね、わかってくれ。
「我は魚を見に行ってきていいか? 他にもいるかもしれないし」
美月は川を指しながら言う。
そっか、生物好きだから見たいのか。
「じゃあ俺も手を洗いに行く」
俺は黒くなった手を見ながら美月についていこうとした。
「は!? じゃあ俺も行く!」
「ここに一人はいなきゃ駄目だろ。何か盗まれるかもしれないし。俺が洗い終わったらまた来るから、そのときに行け」
大雅はかなり驚いている様子でその場に立っていた。
……ここまでくると罪悪感を感じるのは俺だけ?
「おお! この川、たくさん生物がいるぞ! 面白い……。ではクイズだ! 『室井美月は中学校時代、何だった? カタカナ四文字で答えよ』……。なんて酷い問題を出すのだ……」




