第39話 プールに行こう! 〜お化け屋敷 後〜
「前回のクイズの答えは『風崎』だ。……皆覚えておったか? それといつもより投稿が早くてすまぬ。作者の都合上、しばらくはこの時間帯の投稿になると思う。……それと、今回もホラー要素あるから気をつけてくれ!」
「まだ……?」
水麗が超小声で言う。
出口は見えてきている。
明るい場所が見える。
「なんも来ないな。つまんねぇ……」
今度は大雅が小声で言う。
うん、死亡フラグだね。
『マテ……』
後ろからさっきの少女の声が聞こえる。
ほら、お前が死亡フラグ言うからきちゃった。
「おお! 今度はフランス人形か!」
美月が後ろを見ながら興奮気味の声で言う。
俺も後ろを見ると、そこにはさっきのフランス人形が空中にいた。
いや、こっちに向かってきている……?
糸か何かでぶら下げているのか?
「なんで逃げないの!? 逃げようよ!」
水麗が泣きそうな声で言う。
かわいそうだから逃げることにしよう。
水はなんか汚そうだから泳ぐのはやめよう。
……てか人形の方が速くね?
ヤバいな……
人形に捕まってみたいけど、そうしたら水麗が失神するかもしれないし……
「康輝、何か考えがあるみたいだな」
美月が笑いながら俺に言う。
なんでわかるんだ?
「ああ、ちょっと嫌な方法だが」
「へぇ、どんな方法だ?」
「水の流れをつくる。俺と大雅が本気で泳げば水の流れが速くなる。そうすれば多分大丈夫だろ」
「面白そうじゃねぇか。競争するか?」
「ああ、さっきの競争で負けたからな」
俺と大雅はもと来た道を少し戻る。
そして俺は汚そうな水に全身をつける。
もちろん、顔も。
うわ……汚そう……
俺がそんなことを思っていたら、大雅が先には泳ぎ始める。
今回はあいつに勝ちたい……
俺も本気で泳ぐ。
「……速くきすぎたな」
俺らはもう出口に到着していた。
しかし、水麗と美月の姿はまだ見えない。
競争の結果は、俺と大雅が同時に到着したので引き分けだった。
「……いや、いるぜ」
「……? どこに?」
「泳いでる」
……泳いでる……?
あいつら女子だぞ。
こんな汚そうな水で泳ぐわけ……
「ふぅ、なんとか逃げ切れたのう……」
「ハァ、ハァ……」
俺らの近くで二人が水から出る。
……泳ぐんだ……
「お兄ちゃんの意地悪……」
お化け屋敷から出ると、水麗がそんなことを言い出す。
「なんで……手つないでくれなかったの……?」
水麗は泣きそうな声で言う。
「? つないでたろ」
「え……つないでくれなかったじゃん……」
「は……。……誰か俺の手つないだやついる……?」
この質問に、誰も頷かなかった。
しかし、三人は俺が嘘をついていないことはわかっている。
俺の右手に、今まで誰かに握られていたような跡があったからだ。
「……またまたホラー展開……康輝も霊感があるのか……? そんなことよりクイズだ。『新坂皆嘉の出席番号は?』。一応考えればわかる問題だな……」




