第332話 説教……?
「前回のクイズの答えは『ロープ』だ!」
そこから俺は数時間ずっと宣伝係として働いて、学園祭初日は終わることになった。
ご飯、何も食べてない。
あのあと、『大雅とも話せるかなー』って思ってたんだけど、宣伝係として仕事するなら散らばったほうがいい。
だから仕事優先にした。
前崎先生は忙しいみたいで、どこにいるのかもわからない。
今は終礼の時間だけど、先生がいないから勝手に帰っていい感じになってる。
終礼って言っても教室内は迷路みたいになってるから、壁越しに話してるけど。
で、帰ろうとしてる人たちを俺たち――俺じゃないけど――が全力で止めてる。
「あのさぁ! 宣伝係! 私と冬乃ちゃんと風崎くんと橋本くんしかやってなかったんだけど!」
「そうだよ! お兄ちゃんも受け付けやってたんだよ! ねぇ、なにしてたの!?」
水麗と一人の女子がクラス全員に全力で怒ってる。
一人の女子ってやつは、俺が宣伝係を代わった人。
あのあと美月も水麗も白斗も皆嘉もずっと仕事してたらしい。
つまり、真面目仕事してたのはクラスの半分もいない。
お化け役の人もずっとやってたっぽいし。
「先生も言ってたじゃん! 『自分がやりたいものじゃない仕事を与えられても、最後までやり通そう』って!」
「なんでみんなそんなこともできないの?」
うわぁ、怖ぇ……。
よかった、水麗が仲間で。
隣にいる冬乃が『あの二人、女子の怒ると怖そうランキング1位なんだよ』って耳打ちしてるけど、確かにうなずける。
「ねぇ、ずっと仕事で学園祭回れなかった人だけが悲しいんじゃないんだよ? 皆嘉のところだって、妹の海波ちゃんにも悲しい思いさせちゃったんだよ?」
「えぇ……あいつのことで怒ってんの……?」
心外そうな顔してる皆嘉だけど、海波がかわいそうなのは確かだ。
あいつ、実は皆嘉が一番好きだからな。
「おおー、これは賑やかですな。どれどれ、どんな感じのクラスかな?」
ドアから誰かが入ってくる。
『誰だよ……』って思って見てみると、髪型がバーコードのおっさん。
いや、マジで誰だよ。
……って、校長先生じゃん。
入学式とかで見覚えある。
「「今入ってこないでください!」」
二人は同時に叫ぶ。
これにはかなりびっくりした。
だって声量がすごいんだもん。
校長もこれにビビって、『ひょえー! カツラが! カツラがとられるー!』って逃げていった。
……校長、カツラだったの?
「……へー、校長、カツラだったんだー……。髪型がバーコードというリアルなやつだから違うかと思った。ではクイズだ! 『康輝は前崎先生に抱かれたことがある。◯か✕か』。……BLではないぞ!」




