第327話 学園祭初日 〜8〜
「前回のクイズの答えは『水麗の母親』だ!」
みんなでお化け屋敷に入った結果。
ひなたさんは無言、みくさんも無言、美月も無言、俺は今でもビビってる。
「康輝くん、これ高校生向きじゃないって」
海波と同じコメントとひなたさんからいただいた。
超大物女優からコメントいただいたことは……光栄なことだと思っていいのかな?
「美月ちゃん、よくこんなの作る気になったね……」
「私の意思じゃないよ……。私もホラー好きのほうだけど、ここまでとは思わなかった……」
「最初の注意書きに『心臓弱い人注意』って書いてあったのが理解できたよ……」
そうとう怖かったんだろうな、ひなたさん。
俺も怖いけどね!
「――って、あああぁぁぁ!」
後ろから変な声がする。
みんな怖い思いしたばっかりだから、びっくりしながら振り向いた。
「お兄ちゃん、なんで大物と一緒にいるの!?」
「ちょっ、急に叫ぶな! びっくりするわ!」
「み、水麗ちゃん……」
「……ってか、一人初めましての方がいらっしゃるんですけど」
「お前、本当に覚えてないの?」
水麗は『うーん……』って本気で考えてる。
こいつが指名したんじゃなかったっけ? ナンパするの。
「……ごめなさい、本当にわからない」
「水麗、我等と共に影から見てたであろう。ショッピングモールで」
「ショッピングモール……。……! あ、思い出した!」
なにかあると叫ぶやつだな、こいつ。
「お兄ちゃんがナンパした人か!」
それは叫ばなくていいよ。
「……?」
なにかに気づいたらしく、ひなたさんはポケットからスマホを出して画面を見てる。
すると一気に表情が明るくなった。
「康輝くん! 来たって! ゲストが!」
そういえばひなたさん、さっき『ゲストが来る』って言ってたな。
「今ね、校門の前にいるんだって」
へー、じゃあそこまで迎えに行こうかな?
「……? あ、今は1階だって」
ここは3階。
階段のぼればすぐここに到着する。
「お、今は2階だって」
……そうですか。
「……あ、3階に着いたって!」
ちょっとずつ報告するのやめてくれないかな?
怖いんだけど。
「……今、康輝くんの後ろだって」
ヤバい、一気に鳥肌が立った。
これが深夜とかだったら叫んでたぞ。
俺は深呼吸をしてから振り向く。
「久しぶり、康輝くん!」
見ると一人の少女――じゃなくて、女の人がいた。
見覚えがある。
「橋本先生はお元気?」
うん、間違いない。
笹川柚子さんだ。
俺のゾンビメイクをしてくれた人。
「あ、あのときはどうも……」
「そんなかしこまらなくて大丈夫だよ。ひなたちゃんも久しぶり!」
「はい、久しぶりです!」
そういえばひなたさんもよくメイクしてもらうんだったな……。
……なんか一気に増えたな、面子。
「一気に増えたな……。……うん、それだけ。ではクイズだ! 『康輝は心霊現象を体験したことがある。◯か✕か』。……はー、心霊現象か……」




