第32話 過去との重なりの始まり
前回のクイズの答えは『一年二組』だ。簡単だったか?
学校に着いた。
初日とは違う意味で足が重い。
これから、いじめるような奴と一緒に生活しなければならないのか……
俺が靴を脱いでいると、二人の男子生徒が俺の前を通る。
俺と同じクラスの……誰だっけ?
「なんで学校くるんだよ」
男子生徒のうちの一人がそう呟いた。
数年前、俺が聞いた言葉と同じ言葉を。
「! お主等、何を言っておる!」
美月が俺の顔を見て、男子生徒たちに言う。
美月の声を聞いて、男子生徒たちは逃げるように走った。
「なんなんだ、あやつらは! 康輝、大丈夫か!」
美月がハンカチを出し、俺の目に当てる。
……なんで美月はそんなことするんだ……?
そこでようやく分かった。
俺の目から涙が出てる――――――泣いているのだ。
「え……あ……」
「……」
美月は俺の目から涙を拭くと、ハンカチをスカートのポケットに入れる。
「あやつら……なぜ……」
「……俺らが新坂を助けたからだろ……」
俺はやっと声を出す。
「あいつらは俺らもいじめる気だ。水麗と大雅は分からないが……」
「……」
「俺は慣れてるから大丈夫だが、お前は大丈夫か? 結構つらいぞ?」
「我は大丈夫だ。共にいれば大丈夫だろ」
美月はそう言い、階段を上がる。
俺はその後を追う。
俺が教室に入る。
しかし、何の反応もない。
何か言われると思ったんだが……
机や椅子、ロッカーとかも何もされてなさそうだし……
いや、無視してるかもしれない……
「じゃ、またあとでな」
俺がそう言うと、美月は心配そうに俺を見てから二組に行く。
よし、待つか。
……めっちゃ時間経ったけど特に何もされない……。
「ああ~はみあっは!」
……なんだ今の声……
水麗の声か……?
教室の入り口から声が聞こえる。
俺が見ると、そこにはトーストをくわえている水麗がいた。
「あ、おひいひゃん! おはお!」
「……とりあえず食え」
水麗はそのあと熱心にトーストを食べていた。
「いやー、朝ご飯食べる時間なくて~!」
「パンくわえて登校したのか……?」
「うん」
「現実にいるのかよ……。パンくわえて走る女子高生……」
水麗見た人どんなこと思ったんだろ……。
まぁ、水麗結構かわいいからな……
みんなガン見しただろうな……。
「ちゃんと早起きして朝飯食ってこいよ?」
「お兄ちゃんが起こしてくれるなら毎日一時起きとかでもいいよ!」
「不健康すぎるぜ、それは」
「えー、私十一時に寝てるから健康的だと思うよ?」
「睡眠時間二時間じゃねぇかよ……」
しかも水麗の方が遅く寝るのか……
俺は十時に寝てるからな……
てかそれ以上起きれないんだよね。
めっちゃ眠くなるし……
俺はふと、新坂のことが気になった。
辺りを見回すが、どこにも新坂の姿はない。
ちゃんと学校来てくれるかな……
「み、水麗……! トーストをくわえて登校したのか! すごいのう! 我もやってみたい! では今回はそんな水麗のクイズだ! 『水麗は最初に、康輝に○○のお兄ちゃんだ~、と言っていた。○○の部分は?」 ……こんな問題、答えられるわけないだろ……。明日も投稿する予定だ!』




