第318話 本番前のテスト 〜2〜
「前回のクイズの答えは『✕』だ!」
中に入ったけど、想像以上に暗い。
「こっちに懐中電灯と銃があるぞ」
美月は迷いのない足取りで黒板の近くに置いてある机に向かう。
俺もついていって、机の上に置いてあるものを見た。
懐中電灯二つにハンドガンみたいなやつが2丁。
銃がかなりリアル。
なんか知らないけど、下の部分がすんごく長いし。
弾倉って言うんだっけ?
こんな長いの、ゲームでしか見たことないぞ。
普通のハンドガンを改造して、弾を多く装填できるようになるやつ。
「どう? 我と大雅のセンスは? この銃、結構高かったんだぞ」
「リアルすぎない……?」
そう言いながら美月が銃を持ったから、俺も同じように持った。
想像以上に重い。
「……これ、おもちゃだよね?」
「そのはずだ」
『はず』ってなに?
怖いんだけど。
「100発入ってるから、いくら下手な者が撃っても弾が切れることはないだろう」
「100発も入ってるんだ」
「BB弾だからな」
本当にBB弾?
本物の弾が出てもおかしくないくらいリアルなんですけど。
「ほら、早く懐中電灯を持て。来るぞ?」
「そ、そうだな……」
片手に懐中電灯、片手に銃とかいう完全にゲームの世界の格好のまま、懐中電灯を点ける。
教室内は迷路みたいになってて、隣にダンボールの壁があるせいで全体を見れない。
ただ道を歩いていくだけ。
前を照らしてみると、誰かが一歩ずつ近づいてきてた。
完全に歩き方がゾンビ。
「音がすごいから気をつけろよ?」
「わかった」
一応そいつに銃を構えてみる。
そいつの顔に光が当たった――
――前崎先生の仮面してる。
マジで前崎先生じゃん。
「なにをしている! 早く撃て!」
ヤベ、前崎先生の顔にびっくりして撃つの忘れてた。
「せーので撃つぞ!」
「わかった!」
「せーの!」
美月の合図と一緒に、引き金を引く。
するとものすごく大きい音が響いて、反動も伝わった。
正直痛い。
銃口から煙がのぼってて、前崎先生もどきは後ろに倒れた。
――って、これ大丈夫なやつ!?
マジの銃じゃなかった!?
「ちょっ、あいつ大丈夫!? 俺めちゃくちゃ頭狙ったんだけど!」
「大丈夫だ、防弾チョッキ来てるし、頭も金属で覆って、その上に先生の顔を貼ってるから」
「防弾チョッキって、これ本物なの!?」
「偽物だ。BB弾と言ったであろう」
美月はなんともない顔で先に進む。
これさ、おもちゃだとしても犯罪じゃない?
嫌だよ? クラス全員捕まるなんて。
「大丈夫だ! もし犯罪だとしても、警察から逃げる覚悟はできる! ……と、言うことはないから安心しろ。ではクイズだ! 『1年生のとき、出席番号で、康輝の次は大雅である。◯か✕か』。最近こういうの多いなー」




