第312話 学園祭準備 〜1〜
「前回のクイズの答えは『酒井』だ!」
テーマ決めた翌日から早速準備することになった。
いきなりすぎてなにしていいかわからない。
そもそもこういうテーマ決めとかはもっと前にやるものじゃないの?
「おーい、前崎先生、大量にできたよー」
クラスのやつが大量の大きめの紙を持って教室に入ってきた。
前崎先生の全身が実物大で印刷されてる。
しかも前崎先生、色々な表情とポーズしてる。
正直これ、自分の部屋に飾りたい。
「これを綺麗にくり抜いて、ダンボールに貼っていくよー。まずはこれを切り取らなきゃね。全部で100枚あるから手が空いてる人は手伝ってー。……あ、手が不器用すぎる人は却下で」
100枚って多すぎだろ。
そんな量、よく印刷できたな。
俺は手が空いてるし、前崎先生をくり抜くのを手伝うか。
早速そいつから紙を数枚とハサミをもらう。
これはみんなのやつだから丁寧にやらなきゃな。
顔の部分からやろっと。
早速ハサミを入れる。
この前崎先生はマッスルポーズしながらドヤ顔してる。
別に筋肉ムキムキなけではない。
まばたきもあんまりしないで、かなりゆっくりハサミで切る。
なんかずっと前崎先生と目が合ってる気分。
嫌なわけじゃないけど、気持ちのいい気分じゃない。
人って5秒間目を合わせると恋に落ちるっていう話あったよね?
……あれ、3秒だっけ?
どっちにしろ、俺はもうこの前崎先生と10秒以上目を合わせてるから、もしその話が本当なら、俺恋に落ちてることになる。
俺と前崎先生か……。
あんまり似合わないカップルだな。
そんなことを考えながらやってたら、もう半分終わってた。
今のところは順調。
「――どうだ? 俺の顔」
「うわぁ!」
後ろから突然声がしたからそれに驚いて変な声出ちゃった。
手を止めて振り向くと前崎先生が立ってた。
「なかなかナイスフェイスだろ?」
「急に後ろから話しかけないでくださいよ……」
「えー……。康輝のケチ」
「いやこれケチとかじゃ……」
「ま、頑張ってくれ! あ、俺の顔に落書きは厳禁だからなー!」
先生は『ワッハッハ』って言いながら教室から出ていく。
あの人はここになにしに来たんだ……?
……って、紙!
驚いた衝撃で破けたり、変なところ切っちゃってないかな?
慌てて紙に目線を戻すけど、特に変わったことはない。
よかった……。
……もしかして先生、これを狙ってわざと俺に話しかけた?
そうとしか思えないんだけど。
これ終わって次のやつやるとき、場所変えよ。
「……正直、先生の全身プリントされた紙、家に飾りたいな。夜に見たら怖そうで面白そうだしな! ではクイズだ! 『康輝は冬乃の家の店で、冬乃の父から直々に無料で提供されたものがある。それはなにか?』。今回は難しいぞ!」




