第308話 待ち合わせ 〜1〜
「前回のクイズの答えは『霧宮』だ!」
『ハンバーガー早食い』の結果は買ったけど、俺は大切なものをなにか失った気がする。
まず一つ、好物が一つ減ったかも。
そしてもう一つ、この学校の考えてることを信用できなくなった。
おかしいでしょ、こういうのってノーマルのハンバーガー出すんじゃないの?
「康輝ー、お主大変そうだったなー」
「大変すぎたわ」
本部に戻りながら美月とそんな会話をする。
「お前は大丈夫だったのか?」
「てりやきバーガーとチーズとハチミツのハンバーガーだったぞ」
「羨ましいな」
二つ目のハチミツのやつとか絶対美味いじゃん。
ご褒美すぎない?
「ま、これで我等はもう終わったな」
「そうだな、あとは3年生のやつ見て終わりだ」
「それまで本部に我等はいるのか」
結局この体育祭、本部から出た覚えがない。
それでもいっか、美月のこと考えると。
「ま、校長の長くて意味わかんない話を立ちながら聞くよりいっか」
「そうだな」
とりあえず椅子に座る。
そのあと3年生が意味わかんない競技してたけど、あんまり頭に入らなかった。
だって、このあとの俺のプランを練ってたから。
いつ大雅に話しかけよう……。
「――閉会式だぞ」
美月の声で意識が戻る。
気づいたらもうみんな並んでた。
「放送は? お主がやるか?」
「いや、美月で頼む」
「了解」
美月は相変わらずの声で放送する。
……そうだ、閉会式終わって、クラスごとの写真撮影が終わったらすぐに行こう。
大雅のことだから、そのときは一人だろ。
うん、それが一番いい。
「――ふぅ、終わった」
――え?
「終わったぞ、このあと我等の写真撮影だからすぐ行かなければな」
もう終わったの?
一瞬すぎない?
考え事するとこんなに時間が経つのが早くなるんだ……。
「どうした? 考え事か?」
「……いや、今は違う。じゃ、行こっか」
「?」
不思議そうな顔をしてる美月を置いてみんなのところに行く。
そのあと、うちのクラスの全員で写真を撮った。
前崎先生ももちろんいる。
よし、こっからが俺の役目だ。
「大雅」
散らばってる人の中から大雅を見つけて話しかける。
「このあと……あと10分後、大丈夫?」
「……なんの確認?」
「ちょっと用事あるんだ。10分後に裏口来てくれる?」
「……喧嘩? 楽しみに待っとくな」
違うけど……。
ま、今はいっか。
よし、次は……。
俺はすぐに美月をさがす。
美月は本部の近くにいる。
俺は急いでそこまで行った。
「美月!」
「どうした?」
「あと10分で用意しろ」
「……なにを?」
「さっき言ったろ? ハチマキかわいく巻けってこと」
そこまで言うと美月も俺がなにを言いたいかわかったみたいで、ちょっとビックリした表情になる。
「ちょっ、マジで言ってるの!?」
「マジ」
「まだ心の準備が――」
「そんなこと言ってると、いつまでも変わんないぞ」
「!」
黙り込む美月。
だけど、すぐに覚悟を決めた顔をした。
「……ありがと、行ってくる」
「ああ、裏口な」
美月は軽くうなずいて、走っていった。
……あとはあの二人に任せるか。
「……うん、ノーコメント。ではクイズだ! 『美月はホラーが好き。◯か✕か』。……久しぶりだな、この問題。それと、作者から伝言だ! 『前回『7月のかなり最初のほうまでお休みさせていただきます』って書いてありましたよね?全然かなり最初のほうじゃありませんね、ごめんなさい。作者のテスト結果はおそらく美しい花のようです(まだ返ってきてないので予想ですが)。……この比喩表現、伝わってください……。』……美しい花……散るからこそ美しい……。つまり、テストは散ったということだな」




