第305話 午後の部、開始
「前回のクイズの答えは『運動部』だ!」
「こっから午後だね、頑張ろ」
「さっきと同じように、基本的に美月に任せるよ」
昼休憩がそろそろ終わる。
こっからまた放送を再開させなきゃいけない。
さっき『大雅のところに行ってこい』って言ったけど、美月は『放送はやらせて。全部終わらせてから行くよ』って言ってここから動かないみたい。
ま、全部終わってスッキリしてからのほうがいいもんな。
大雅と美月、どこまで進展するんだろう。
告白までは行かないと思うけど、二人きりで帰るとか、日曜日遊ぶとかくらいまで行くかな?
「次の競技は……おお、『ハンバーガー早食い』ではないか! お主だな!」
……は?
え、今このタイミングであれやるの?
昼飯食べたばっかだよ?
しかもあの仕出し弁当、無駄に量多かったし。
「我等も頑張るからお主も頑張れ!」
頑張るもなにも――
――って、え?
美月、今『我等も出る』って言った?
「なんか不思議そうな顔をしているな。なにかあったか?」
「いや、お前も出るのかって……」
「ああ、我と水麗、それと冬乃も出るぞ」
え、そうなの?
水麗とか出るの?
聞いてないんだけど。
「知らなかったのか? お主の妹のことであろう」
「いや、だってあいつ、俺にばっか練習させてたし……」
「なに言ってるかわからぬが、皆出るのだぞ? 放送は前崎先生に任せるか」
待って、まだ驚きが隠せない。
水麗、自分も『ハンバーガー早食い』に出るくせに俺にだけ練習させたの?
しかもめちゃくちゃ辛いハンバーガー。
「じゃ、お前ら頑張ってこいよ。絶対に青団が勝つんだ」
気づいたら後ろにいる前崎先生が笑いながら俺の肩を叩く。
いや、無理ですよ。
だって食べたばっかですもん。
「じゃ、行ってこい!」
行きたくないです。
でも美月がニコニコしながら行くから俺もそれについて行った。
そういえばこの競技、大雅も出るんだったな。
よかった、美月と大雅が一緒に出る競技があって。
そういえば今年はなかったな、演劇。
去年は意味わかんない桃太郎やらされて大変だったよ。
早速前崎先生の放送が聞こえた。
『競技に出る人はアリーナに集まってください』ってやつ。
頑張るしかないか、あそこまで練習しちゃったし。
俺の練習用のハンバーガー、全部水麗がお金出してくれたから負けるわけにはいかない。
……いくらかかったんだろ……。
「さー、我等の出番だな! 康輝、あんなに練習したんだからすんごく早いんだろうなー、早食い! ではクイズだ! 『前崎先生の担当教科は?』。また前崎先生……」




