表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
300/352

第300話 ロシアンパン食い競争 〜2〜

「前回のクイズの答えは『牛乳』だ!」

 次は冬乃の番だ。

 手錠かけられたまま全力で走ってる。

 あいつ、意外と足速いんだな。


 すぐにパンのところまで行って、あっという間にパンをつかんだ。

 係りの人が袋からパンを外してる間も、冬乃はパンをガン見してる。

 そんなにパン、気になるかな?

 ま、気になるか、どんな味するかわからないんだし。


 袋から外し終えると、係りの人が冬乃の口にパンを運ぶ。

 冬乃はちゃんと味わってるみたい。


 さて、何味かな?


 そう思って見てたら、急に冬乃が係りの人を見つめる。

 そして、地面に置いてある水が入ったペットボトルも交互に見つめた。


 係りの人はそれを見てなにかを察したようで、ペットボトルのキャップをとって冬乃に飲まる。

 冬乃はその水を全部飲んで走った。


 ……何味だったんだ、本当に。


 よく見ると冬乃、涙流しながら走ってるし。


 あのパンの中、ちゃんと全員が食べれるもの入れてる?

 食べられないようなもの入れてないよね?


 あとで冬乃に感想聞こ。


 しばらくしてから次は水麗になった。

 水麗もやる気あるみたいで、全力で走ってる。

 もちろん、手錠かけられたまま。


 水麗も冬乃と同じくらいの早さでパンをつかみ、係りの人に袋を外してもらってから食べる。


 どんな反応するかと思って見てたら、特に反応はなかった。

 ただ真顔で走り出した。

 前の競技の皆嘉の顔と同じ感じ。


 つまり、美味くはなかったんだな、あのパン。


 次は美月の番。

 こいつもめちゃくちゃやる気あるみたいで、全力で走ってる。


 美月は誰よりも早くパンをつかんだ。

 係りの人に袋を外してもらって、食べる。


 美月は噛みながら数回うなずいて、走り出す。

 これは当たりだったみたい。


 あとで3人のパンがどんな味したか訊こ。






 「どうだった? 私たちの団勝ったよ!」


 競技が終わって、冬乃と美月が俺のところまで来る。

 確かに、青団が1位だった。


 「おめでとな」

 「我等が頑張ったのだから、お主も頑張るのだぞ?」

 「わかってるよ。それより、どんな味がしたんだ? パン」

 「あー、パンか……」


 冬乃は残念そうな顔をして、美月はあんまり表情を変えてない。

 この結果からして、冬乃はハズレだったみたい。


 「なんか辛かったよ……。中にさ、ソースが入ってたの。それがすっごく辛くてさ。びっくりしちゃって……」

 「我は硬いものが入ってたな。多分せんべいとかだと思うぞ?」


 美月は普通に当たりみたいだな。

 それと、さっきから水麗の姿が見えないんだけど?


 「水麗どこに行ったかわかる? あいつにいろいろと訊こうと思ってたんだけど」

 「あー、水麗ちゃんか……」


 俺から目を逸らす冬乃。


 「水麗ならトイレに行ってると思うぞ? 口を手でおさえながらそこに向かってた」


 ……あー、トイレね……。

 本当になにがあったんだよ、あのパンの中に。

「我は当たりでよかったな。しかし、水麗が食べたパンの中身も気になるな。我もあとで水麗に訊いてみるか。ではクイズだ! 『海波と石川ひなたは直接会ったことがある。◯か✕か』。ひなたちゃん……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ