第299話 ロシアンパン食い競争 〜1〜
「前回のクイズの答えは『ハンバーガー早食い』だ!」
「いやー、3年生の『アクロバッティング大玉転がし』はすごかったなー! ……で、次は我の番だな。行ってくるから放送頼む」
美月はそう言って椅子から立つ。
次の種目は確か……『ロシアンパン食い競争』か。
水麗も美月も冬乃もこれに出るのか。
正直、これが一番つらいと思うけどな。
だって『ロシアン』でしょ?
中にデスソースとか入ってる可能性とかもあるよね?
……でも『牛乳、コーラ一気飲み』もつらそうだったな。
あれを選ばなくてよかったよ、俺が。
それより、放送しなきゃ。
「次は『ロシアンパン食い競争』です。出場する生徒はアリーナへ向かってください」
言い終わってからマイクのスイッチを切る。
やっぱ緊張する。
いつもこれやってる美月ってすごいんだな。
『ロシアンパン食い競争』のルールは、まず走る人が腕を後ろにして手錠をして、そこから普通にパン食い競争する。
でさ、パンって袋に包まれてるじゃん?
そのパンを取ったら、その場にいる係の人がその袋を外して、その場で食べなきゃいけないらしい。
つまり、口で取ったパンをその場で食べて、また走る。
パンは一口サイズだけど。
ツッコミどころたくさんあるけど、一番ツッコミ入れなきゃいけないところは、やっぱ手錠だよね。
手錠ってする意味ある? しかも後ろで。
転んだら顔から地面に叩きつけられるよ?
今、係りの人がそれに出場する生徒全員に手錠かけてる。
水麗も今かけられてる。
やっぱりこれが一番地獄かもしれない。
そこから俺がいろいろと放送して、もうすぐ始まる。
一応水麗のこと応援しとくか。
開始の笛と同時に、3つの団が一斉に走り出す。
ヤバい、手錠しながら走ってるの面白い。
パンのところまで来た3人は、吊り下げられてるパンを必死に咥えようとしてる。
これもシュールで面白い。
最初に掴めたのは赤団。
すぐに係の人に袋を外してもらって、食べさせてもらってる。
「……! なにこれ!? 青汁だよね!?」
……は? え、なに、青汁入ってるの?
嫌いな人は本当に嫌いだからな、青汁。
次に青団がパンを取る。
その人がパンを食べる。
「……? 豚骨ラーメンの味する!」
豚骨ラーメン……。
なにを入れたら豚骨ラーメンになるんだよ。
ってか、ちゃんと味を言ってくれるのありがたいな。
言わなかったらなんも面白くないもんな。
俺がこの競技じゃなくて本当によかった。
あの3人、当たり引くといいな……。
「さてと、我は当たりを引くかな……? ま、食べれぬものは入っておらぬだろう。ではクイズだ! 『前回の、皆嘉と白斗が出た競技、牛乳とコーラ、どっちを先に飲んだ?』。前回の話をクイズにするとは……」




