第296話 体育祭、到着
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
今日だ。
なにが今日かって?
体育祭だよ。
去年と同じように、どっかの陸上競技場借りてる。
今日は父さんも母さんも来れないらしくて、水麗と二人でここまで来た。
もちろん、制服じゃなくて体育着で。
体育祭、別に嫌ってわけじゃないんだけど、ちょっとな……。
みんなの足引っ張ったらどうしようって思ってしまう。
「おー、やっぱみんな盛り上がってるねー! お兄ちゃんも盛り上がろうねー!」
「ああ、そうだな。それより美月どこにいるかわかる?」
「さぁ? 青組のところじゃない?」
めちゃくちゃ言い忘れたけど、今回は俺は青組になった。
奇跡的に、水麗とか大雅とか、いつも遊んでるメンバーはみんな青組。
去年も確かそうだったよね?
とりあえず青組の待機場所のところまで行く。
1組のみんなが集まってるところに行くと、美月が一人で座ってた。
なんか本読んでるみたい。
「美月、おはよ」
「おお、康輝か。おはよ」
「今時間ある? 読書中だったみたいだけど」
「大丈夫だ。なかなか面白い本を水麗からもらってな」
美月は持ってる本の表紙を見せる。
『こうきとコウキとこーきとコーキのこーき』って書いてある。
なんだこれ?
「なかなか面白いぞ?」
「……どっちの意味で?」
「ギャグだ」
「……なんとなくわかってた。ちょっとついてきてくれる?」
「わかった」
美月は本を椅子に置いて立ち上がる。
美月が準備できたことを確認すると、俺は本部に向かって歩き出した。
『本部』ってあれね?
先生たちがいるところ。
そこまで行くと、前崎先生が見えてきた。
「前崎先生」
「お、康輝! ……と、ついでに室井!」
「我、ついでなんですね……」
「一応美月も連れてきました」
「そうか、ありがとな!」
「……なんの話かまったくわからないんだが」
「そうか、なら今から詳しいことを話す!」
そう言って前崎先生は、昨日俺とメールでのやり取りと同じ内容を美月に説明した。
「――で、どうだ?」
「我でいいんですか……?」
「ああ、康輝によれば、お前そういうの得意らしいからな」
「まぁ、自信はあります」
「じゃあ頼んだ! 康輝もな!」
「……え、俺も?」
「ああ、二人でやってくれ! そうすれば水麗は室井に嫉妬、康輝とさらにイチャイチャするだろう!」
……どうしよう、前崎先生も『話せない人』の領域に入ってしまいそうだ。
俺はそういうのあんまり得意じゃないんだけどな……。
「あの水麗から借りた本、結構面白いんだよな。なかなかギャグ要素あって笑えるぞ。ではクイズだ! 『1年生のとき、学園祭で冬乃のクラスの出し物は?』。……ちょうど1年ほど前か……。それと、作者から伝言だ! 『あることに気づきました。もう定期考査がかなり近いです。ということで、またまたまたまた活動を一時的にお休みさせていただきます。勉強、大変です……』。……直前になってから慌てるってことは、普段から勉強してないのか……?」




