第293話 体育祭、種目決め
「前回のクイズの答えは『海波』だ!」
「今日は体育祭関係のことやるぞー!」
ロングホームルームの時間に前崎先生が来て、黒板にカタカナで『タイイクサイカンケイ』って書く。
なんでカタカナで書いてるかはわからない。
でもその文字を見て、一部除いたみんなが楽しそうな顔になった。
一部除いたって言っても、水麗、大雅、白斗だけだけど。
大雅は寝てるし、白斗はそもそも興味なさそう。
そして水麗は例の問題集に集中してる。
あの意味わかんない問題集、学校にまで持ってきてたんだ……。
「俺からなんか言うつもりないから、みんなで決めてくれ。……あ、でもお前ら2年生が出場する競技だけ黒板に書くな。去年とちょっと変わったんだ」
そう言いながら先生は黒板にチョークで文字を書く。
へー、去年と変わったんだ。
『ドッジボールもどき』とかいう意味わかんない競技がなければいいけど。
あれ意外と大変だったんだよね。
えーと、なになに……?
『ロシアンパン食い競争』、『ハンバーガー早食い』、『牛乳、コーラ一気飲み』、『笑わせ大会』……。
うん、今年も意味分かんないわ。
『ロシアンパイ食い競争』はなんとなくわかるけど、『笑わせ大会』ってなに?
体育関係ある?
しかもハンバーガー早食いとかコーラ一気飲みとかマジで体育関係ないじゃん。
「2年生だけの競技はこれだけだ。一人2回出なきゃいけないらしいぞ」
マジか、2種類もやらなきゃいけないんだ。
こんな変な種目やってるのうちくらいしかないでしょ。
「このクラス――ってか、この学校に小麦粉とか肉とかアレルギーあるやついないから、みんな好きなのできるぞー。やりたいやつやれー」
やりたいやつなんてあるんだ。
確かに『ハンバーガー早食い』とか、ハンバーガー食べれるから嬉しい競技ではあるけど。
「お兄ちゃんはどれやる?」
みんながザワザワし始めてから水麗が訊いてきた。
俺と水麗の席は近いから、椅子に座ったまま話せる。
それより、こいつ話聞いてたんだ。
問題集解くのに集中してるかと思った。
「どれやるって……。どれも謎すぎてやる気になれないんだけど」
「えー、『ロシアンパン食い競争』とか面白そうじゃん」
「……ロシアンルーレットって知ってる? ハズレがあるんだよ? 多分パンの中にデスソースとか入ってるかもしれないんだぞ?」
「ハズレ引かなければいいだけでしょ?」
『負けたら死ぬ? 勝ちゃいいだけだろ』みたいに言うけど、そんな簡単な話じゃないと思うな。
「じゃあさ、質問変えるね。どれならマシ?」
「それは『ハンバーガー早食い』だけど……」
「みんな! お兄ちゃん『ハンバーガー早食い』やりたいって!」
「ちょっ、なに言ってるの!?」
突然水麗が立ち上がって大声で言うから、俺も大声出しちゃった。
……こんなこと、この学校の入学式にもあったな……。
「体育祭かー。なんか変な種目だなー。ではクイズだ! 『去年の体育祭、康輝が最初に出た種目は?』。……もう去年のことだったんだ……」




