第290話 夏休み最後の思い出
「前回のクイズの答えは『ラーメン』だ!」
あのあと、すぐにひなたさんに連絡した。
ひなたさんは『よかったよかった』だけ返してくれた。
しばらくみんなのところに戻る気になれなかったから水麗と二人で歩くことにした。
その間水麗は無言だった。
別に話しかけるなオーラを放ってるわけじゃなかったけど、俺もなにも喋らなかった。
気づいたらもう空が赤くなり始めてた。
「そろそろみんなのとこ、行こっか」
そう言うと水麗は黙ってうなずく。
俺もそれを見てうなずいて、みんなのところに向かった。
「あ、いたいた!」
冬乃が最初に俺たちに気づいてくれる。
いつも通りの笑顔で手を振ってる。
俺も笑顔をつくって手を振る。
「お前らどこ行ってたんだ?」
「散歩。喧嘩とかしてねぇから羨ましがんなよ?」
表情を変えないまま大雅に言う。
大雅は納得がいってないような顔をしてる。
「みんな来てくれてありがとね。本当に楽しかったよ」
「ひなたちゃんとのお出かけなら私はどこにでもついていくよ!」
やっぱり美月はひなたさんのことが大好きみたい。
美月が興奮してるところを見るの面白いな。
「そろそろ解散かな? 時間も時間だし」
「ひなたちゃんってどこの方面だっけ? 途中まで一緒なら一緒に帰りたい」
「うん、一緒に帰ろうね。海波ちゃんも一緒かな? それなら一緒に帰ろ?」
「え、いいんですか!?」
「大事なファンだもん」
「皆嘉! 逆方面でもひなたさんと一緒に帰るよ!」
「はいはい」
「……私たちはちょっと寄るところあるからここでバイバイするね」
水麗がやっと喋る。
別に寄るところなんてないはずだ。
でも俺は『そうだった』って言った。
今は水麗に従おうと思う。
「じゃ、先に失礼しまーす」
俺はそう言ってみんなに背中を見せて歩く。
一部の人は不思議そうな目で俺たちを見てたけど、別になんも言わなかった。
「――最近一緒に寝てないよね」
30分くらい無言で歩いてたら、やっと水麗が喋ってくれる。
「また一緒に寝たい」
「……そっか」
「それは『オッケー』ってこと?」
「お前が未提出課題終わらせたらな」
「なっ!? なんで未提出課題あるってわかるの!?」
「海行ったとき前崎先生が言ってただろ」
「むー……前崎先生のバカ……」
「すぐ終わるよ、集中すれば」
「終わる未来が見えないんだけど」
あー、こりゃダメだ。
もうどうしようもないね。
「でもお兄ちゃんと寝るためなら頑張る」
「ま、頑張れ」
「……うん、頑張る」
そこから水麗は黙っちゃった。
うん、なにを話せばいいんだ?
無言は嫌だな。
でも話すこと思いつかないし。
……そういえばもう夏休み終わりか。
2学期も頑張るか。
「やっと大雅が喋った! それと、康輝の部活の先輩は本当になにがしたかったんだ? 謎だな……。ではクイズだ! 『冬乃の名字は?』。意外と忘れてたりする……?」
追記……作者の都合により、しばらくの間投稿をお休みさせていただきます。




