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第278話 名誉挽回?

「前回のクイズの答えは『ドッジボールもどき』だ!」

 「意外と釣り楽しかったな! 生徒と釣りするなんて思わなかったからなー!」


 ニッコニコで言う前崎先生。

 大雅を除いてだけど、他のみんなもニッコニコ。


 でも俺はニッコニコじゃない。

 だって魚1匹も釣れなかったもん。

 ゴミしか釣れなかったじゃん。


 大雅が真顔なのは、ただ単に眠いだけだと思う。

 さっきもあくび4連発くらいしてたし。


 「私もみなさんと釣りできて楽しかったです! いつも一人とか、限られた友達としかそういうのしないので」

 「意外と釣り楽しいね、今度お兄ちゃんと一緒に行こっかな?」


 やめて?

 行くとしてもさ、釣り堀とか絶対に魚が釣れるところにして?

 俺もうゴミ釣りたくないよ。


 そう思ってても、顔とか口には出せない。

 みんな楽しそうなのに、俺がそういうこと言ったら雰囲気壊すかと思ったから。


 「それより早く食おうぜ? 腹減ったし」

 「大雅、お主な……、もっと雰囲気にあった発言をしろ」

 「大丈夫だよ、大雅くん。お腹すいたもんね。早速焼こっか」


 大雅にも優しいひなたさん、やっぱり尊敬できる。


 「じゃあ炭とかいろいろ持ってくるね、ちょっと多いから誰か手伝ってくれると嬉しいんだけど……」

 「じゃ、じゃあ私が行きます!」

 「お、海波ちゃん、ありがと。本当にいつもありがとね」

 「み、皆嘉も行くよ!」

 「わかってるよ、じゃ、行ってくる」

 「ちょ、ちょっと待って」


 俺たちに背中を見せようとした3人に俺はそう言ってた。


 「俺も手伝っていいかな?」

 「もちろん! 協力してくれるのはすっごく嬉しいよ!」


 褒められちゃった……。

 俺はただ単に、さっきのやつを上書きしようと思っただけなんだけどね。


 さっきは情けないところ見せっちゃたから、今度こそ重い荷物を運んで名誉挽回したい。






 「……康輝くん、無理しなくていいよ……?」

 「いや……まだまだ……!」


 バーベキュー用具みたいなのを持ちながら俺は頑張って声を出す。

 俺はあの中に炭入れて焼く、四角くて大きいものを持ってる。


 ……あ、やっと思い出した、これの名前。

 バーベキュー コンロだ。


 なんで今までこの名前思いつかなかったんだろう。


 とにかく、今は汗流しながらそれを運んでる。


 「康輝、俺が持つよ」

 「大丈夫……! 俺は名誉挽回……!」

 「康輝先輩、名誉挽回する前に死んじゃいますよ……?」


 でも……これさえ運べれば……。


 いける、あつ数十メートルだ。

 俺ならできる。

 昔は大雅と喧嘩したんだ。


 ここで諦めてたまるか……!

「康輝が無駄に頑張ってるなー! こういうの見ると、昔の康輝が思い出せなくなるぞ。ではクイズだ! 『皆嘉は康輝の家に上がったことがある。◯か✕か』。うん、特に言うことがないな」

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