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第27話 廊下での集まり

 あれから数週間が経った。

 大雅と水麗は全く勉強する気がないらしい。


 水麗に勉強教えてやらないとな……


 俺がそんなことを考えながら廊下を歩いていると、廊下の奥から笑い声が聞こえる。

 その方向を見ると、たくさんの人が集まっていた。


 ……なんかあったのか?


 俺は不思議に思い、その近くに行く。


 「なんだよ、お前! そんなもの、ガキでも持ち歩かないぞ!」

 「ダッサ! 女の私でも小さいとき、持ち歩かなかったよ!」


 バカにするような男と女の声が聞こえる。

 俺がそいつらの間を抜ける。


 「!」


 俺は驚いた。

 皆が新坂皆嘉を囲むように集まっており、新坂皆嘉は膝をついていた。

 そして涙を流しており、手には何かを持っている。


 ポケットに入りそうな大きさのクマのぬいぐるみだ。

 見た感じ、手作りっぽい。


 「新坂……」

 「あ、康輝。聞いてくれよ! こいつ、こんな年してあんなぬいぐるみ持ってるんだぜ!」


 俺と同じクラスの男子が言う。


 俺は新坂に近づき、そのクマのぬいぐるみを見る。

 新坂は泣きながら俺を睨む。


 「なぁ、康輝、言ってやれよ! 『キモイ』って!」

 「……そうだな……キモイな」


 俺は少し笑いながら言う。

 新坂はさらに大粒の涙を流す。


 「だろ? もっと言え!」

 「ああ! キモイ、キモイ!」


 俺はそう言い、振り返る。


 「『お前らが(・・・・)』な」


 ここで俺は真顔にし、声を低くして言う。

 新坂も含めた皆が驚いて動きを止める。


 「え……何言ってるの……康輝くん……」

 「黙れ。お前らみたいなクズの声はききたくない。耳が腐る」


 俺は新坂に目線を合わせ、クマのぬいぐるみを持つ。

 そして新坂に、さっきまでとは違う優しい声で言う。


 「これ、借りていいか?」


 新坂は頷く。

 俺はそれを皆に見せる。


 「こんなの今のJKならみんな持ってると思うんだよな、俺。どこがキモイのか全然わかんないんだけど」

 「いや、こいつが持ってるから……」

 「黙れっつただろ!」


 俺は叫ぶ。

 そのせいで、この場が凍り付いたように静かになる。


 「逆に訊くけど、お前らはこういうの持ってねぇのかよ? ま、この質問に答えなくていい。何? お前ら人のことをいじめてそんなに楽しいの? 言っておくけど、いじめられてるやつはマジで自殺するからな」


 俺は昔のことを思い出しながら皆に言う。


 「ふざけんなよ。なぁ? あ、そうだ! いじめてるってことは『自分もいじめられていい』ってことだよな! じゃあ俺が今日からお前らをいじめてやろうか! もちろん暴力もだ! 女でもかかわらず、顔面殴ってやるよ!」

 「康輝、お主は間違えておる」


 ここでまた聞き覚えのある声が聞こえる。

 美月の声だ。


 気がついたら美月は俺の前にいた。


 「なんの騒ぎかと思ってきてみれば……」


 美月は目を細めて俺を見る。


 「やるならそんな中途半端にするではない。殺す(・・)くらいまでやれ」


 美月は不気味に嗤い、胸ポケットからポケットナイフを出す。


 「なぁ、お主等。康輝にこれを持たせたらどうなるかわかるか? 怪我だけではすまないぞ?」


 美月はそう言い、俺にポケットナイフを渡す。

 俺は軽く笑い、刃を出す。


 「ああ、やってやるよ! お前ら全員八つ裂きにしてやる!」

めっちゃ急展開!

それと、次回から『天才美月ちゃんのクイズコーナー!』というものをやります!

お楽しみに!

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