第267話 夏休み後半、暇すぎる
「前回のクイズの答えは『英語』だ!」
「お兄ちゃん、今日もそうめんでいい?」
下の階から聞こえる水麗の質問に『うん!』って言いながら、スマホをいじってる。
夏休みも後半になってるけど、びっくりするくらい予定がない。
みんなとバーベキュー兼海も行ったし、もう夏休みの思い出は十分だ。
でも暇すぎる。
暇すぎて、特に用もないのにスマホいじってる。
……そうだ、ひなたさんとメールしよ。
みんなで海に行ったときからやり取りしよって思ってたのに忘れてた。
今のひなたさん大丈夫かな?
『大丈夫』って、『忙しくないかな』って意味ね?
まぁ、ひなたさんも結構有名な女優だしいつも忙しいと思うんだけど。
俺はとりあえず、ひなたさんに『今話せますか?』って文だけ送った。
わかってたけど、すぐには返信がこない。
ベッドでゴロゴロしてると、下の階から『できたよー!』って水麗の声がする。
今日もそうめん、食べますか。
今日もいつも通りそうめん食べ終わって、リビングでスマホいじってる。
水麗は皿洗い。
俺も『皿洗いくらい手伝うよ』って言ってやろうとしたのに、なぜか拒否られた。
『お兄ちゃんにこんな雑用似合わない!』みたいなこと言われた気がする。
無理に手伝おうとするとなんか言われてうるさいから、もう手伝う気がなくなった。
皿洗いしてる水麗の背中を見ていると、誰かからメールが来たらしくスマホが震えた。
おー、ひなたさんから返信来た。
一応『Rira』って表記されてるけど。
『はい! 大丈夫ですよ!』
うん、大丈夫みたいだ。
『この間の夏祭り、一緒に行動してくれてありがとうございました』
『いえいえ! 私も楽しかったので!』
返信早い。
……ってことは、まだ話せるな。
『美月も喜んでましたよ、ひなたさんと話せて』
『美月ちゃんそんなふうに言ってくださったんですね! 私も美月ちゃんと話せて嬉しかったです!』
『美月のこと好きなんですか?』
『はい! 声がとても気になって色々と調べたら大好きになりました!』
おー、美月すげぇ。
大物女優に『大好き』って言ってもらってる。
そんなに美月の声よかったのか。
今度聞いてみよ。
ってか、なんのアニメだろ?
ひなたさんがアニメ見てて、それが美月が声優してるやつだったんだよね?
そういえば美月からなんのアニメに出演してるか聞いてないし、今度訊こ。
『それと康輝さん! 一つ質問いいですか?』
『あ、はい』
『この間の話の続きですけど……もしよろしければ今度、キャンプ行きませんか?』
……マジで?
「康輝……、我が声優しているアニメは知らないでおいてくれ……。普通に恥ずかしいのだ……。ま、あと数話先で我はもっと恥ずかしいことを言うらしいがな。作者がそう言ってた。ではクイズだ! 『大雅のあだ名といえば? 5文字で答えよ』。あだ名、というのかな……?」




