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第259話 水麗が離れてくれない

「前回のクイズの答えは『◯』だ!」

 肉は食べ終わって、みんな海に行った。

 ただ、俺は海で遊べない。

 なぜなら水麗がずっと俺から離れてくれない。

 理由はわからない。


 「み、水麗……、離れてくれるか……?」

 「嫌だ」


 ええ……。

 ってか、なんで誰もこの状況にツッコまないの?


 「冬乃ちゃんばっかずるい」

 「なんでそんなに気にしてんだよ……」

 「だってずるいもん」


 冬乃……、余計なことしてくれたな……。


 「おーい、水麗ー、なんか大雅が呼んでたぞー」


 俺たちの前に前崎先生が来る。


 「早く行った方がいい感じだたぞー」

 「えー……いいところなのに」


 水麗はしぶしぶ俺から離れて、大雅のところに行く。


 俺にはわかる。

 大雅は水麗のことを呼んでない。


 もし仮に呼んでいたとしても、前崎先生はそのことを知らないはずだ。

 だって前崎先生、大雅と一緒にいなかったもん。


 つまり、前崎先生は嘘を言って俺を助けてくれた。

 本当に助かった……。


 「ありがとうございます……」

 「いや、気にすんな。それと、ちょっと話があるんだ。ついてきてくれるか?」

 「は、はい……」


 俺が言うと前崎先生は歩き出した。

 本当に怖いな……。






 「――ここで大丈夫だ」


 前崎先生は海からある程度離れたところにあるベンチに座った。

 俺は前崎先生の隣に座る。


 「康輝……。……『コウタ』……」


 前崎先生が急に抱きついてくる。


 ……えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

 急にこんな展開!?

 この小説BL設定つけてないよ!?

 このサイト、そういうシーンがある作品はつかなきゃいけないよ!?


 ……いや、そういう感情じゃないっぽい。

 『恋愛感情がある人に抱きつく』っていうより『母親が子供に抱きつく』って感じ。


 「久しぶりだな……」


 前崎先生は俺をはなす。

 そんな前崎先生は泣いていた。


 「先生……?」

 「あぁ……、ごめんな……康輝……」


 先生の目から大粒の涙がこぼれる。

 先生はそれを拭う。

 それでも涙は止まってない。


 「いやな、ちょっと……、お前が似てたから……」

 「似てた……?」

 「ああ……、俺の……親友に……」


 先生は泣きながらポケットからスマホを出す。

 そして画面を操作したあと、俺に見せた。


 そこには二人のうちの学校の制服を着た男子生徒が写ってる写真が表示されてた。


 一人はつまらなさそうに隣にいる男子生徒を見ている。

 照れ隠しをしているようにも見える。


 そしてその隣にいる男子生徒は満面の笑みを浮かべてカメラ目線だった。

 その男子生徒の顔は、俺にそっくりだった――。

「前崎先生、やっと過去を話してくれそうだな。1年生のときの体育祭から意味深なこと言ってたし。ではクイズだ! 『作中で康輝が泣いてるシーンがある。◯か✕か』。なんか『泣いてるシーンがある』ってクイズ嫌なんだが」

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