第251話 買いすぎ?
「前回のクイズの答えは『康輝』だ!」
「か、買いすぎじゃないですか……?」
「なーに、高校生がいっぱいいるんだ! これじゃ足りないくらいだろ!」
元気に笑いながらそう言う前崎先生。
俺と海波、それから前崎先生はそれぞれ、さっき買ってきた大量の食材を持ってる。
めちゃくちゃ重い。
海波なんてもう重すぎて自分を見失ってる顔してる。
さっきから一言も言葉を発してない。
でももうちょっとでみんなのところに着く。
みんなが見えてくると、もうバーベキューの準備はしてるっぽかった。
炭を入れる台とかも準備してる。
「おーい、待たせたなー! いっぱい買ってきたぞー!」
「おー、待ってました!」
「お、ノリいいな! さすが桃山!」
「やっぱ明るくいくのがいいですもんね!」
「そうだな!」
冬乃もちゃんと元気そう。
それはそれでよかった。
「……康輝先輩、ちょっと……」
荷物を簡易机に置いた海波が俺に『向こうに行け』みたいな合図をしてくる。
俺も同じ場所に荷物を置いて、みんなからまぁまぁ離れたところに海波と一緒に行く。
「康輝先輩、桃山先輩のこと好きなんですか?」
「ん!?」
予想外のことを訊かれて変な声が出た。
それより海波、今なんて……?
「康輝先輩、桃山先輩のこと微笑みながら見ていたので」
「え、マジ? で、でも冬乃にそういう感情はないけど……」
「へー」
面白そうに笑う海波。
完全にメスガキの目だ。
美月もこんな感じだったのかな?
「で、康輝先輩、水麗先輩に好かれてますよね? 恋愛的に」
「あっと……それは……」
「微笑んでる康輝先輩のことを面白くなさそうに見てましたよ? 水麗先輩」
「そ、それは……」
「『俺はお前のことしか見てねぇぞ』とか夕日の浜辺で言ったりしちゃうんですか!」
今度は興奮気味になる海波。
それより最初の『俺はお前のことしか』ってとこめっちゃイケボだった。
本当に美月みたいだな。
「それで唇と唇合わせちゃったり!」
「あ、あの……、海波?」
「それで! そこで桃山先輩が出てきて、桃山先輩も康輝先輩のことが好きってことを伝えるんですよ!」
「海波、落ち着くんだ。そんなアニメみたいなのはない」
「え? そうですか? まぁ、康輝先輩のこと観察させてもらいますね!」
人差し指を俺の胸に突き立てる海波。
そして小走りでみんなのところに戻っていった。
海波ってあんなキャラになるんだ……。
「海波も恋愛のことになると興奮するんだな。なかなか面白いやつだ。それと、康輝は冬乃のことが好きなのか? それもこれからゆっくり観察するとするか。ではクイズだ! 『1年生のときの康輝の出席番号は何番?』。これも忘れてる者多いと思うぞ?」




