第250話 食材を買いに!
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
「いやー、待たせたなー!」
みんなと雑談して待ってると、前崎先生が歩いてきた。
この感じからすると、もう車はどっかに停めたらしい。
「よーしお前ら、まず腹減ったろ? 先に食うぞー!」
いや、そんな腹は減ってないな。
水麗がちゃんと朝飯つくってくれたし。
「すぐそこにショッピングモールあって、そこで食材買えるぞ! 俺について来たいやつ挙手!」
前崎先生が元気に言うけど、誰も手を挙げない。
普通に先生と買い物楽しそうだけどな……。
「お、康輝! そんなに俺と行きたいのか? じゃあ一緒に行こうな!」
いや、俺まだなんも言ってないんだけど。
「あ、じゃあ私も行きたいです」
海波が前崎先生に言う。
海波も一緒ならいっか。
「よーし、新坂の妹! 共に行こうな!」
すげー、美月以外で日常会話で『共に』って言ってる人初めて見たわ。
……それとも俺がおかしくて、結構みんな使うのかな?
「よーし、康輝と新坂の妹! ついて来い!」
前崎先生が勝手に歩き始めるから俺と海波はついていく。
他のみんなはただ突っ立ってる。
みんな前崎先生と買い物行きたくないのかな?
ショッピングモールに来たけど、人が多い。
さすが夏休み。
スーパーは1階にあって、もうすぐそこにある。
「そういえば康輝! すき焼き買っていくか?」
「すき焼きですか……?」
「ああ! 水麗が好きだろ?」
「え、水麗先輩、すき焼き好きなんですか?」
いや、聞いたことないけどな、あいつがすき焼き好きって言ってるのなんて。
「自己紹介で言ってただろ? 1年のとき」
「よくそんなこと覚えてますね……」
「当たり前だろ! 俺の生徒だからな! とりあえず、早く買いに行くぞ!」
話振ったの先生ですよ……?
そんなことを思いながらスーパーの中に入る。
最初に俺たちが行ったのは精肉コーナー。
めっちゃ肉ある。
「おー、この肉美味そうだ! 全部入れちゃお!」
「先生……、俺あんま金持ってませんよ……?」
「気にすんな! 俺が出してやる!」
「え、それはさすがに……」
「俺が誘ったんだからこのくらいしなきゃな! たまには俺にかっこつけさせてくれ!」
前崎先生はそう言って肉をどんどんカートに入れてく。
本当に大丈夫かな……?
「康輝先輩、前崎先生ってキャラ濃いですね」
「ああ、美月並みに濃い」
それでも嬉しそうに肉入れてる前崎先生を見ると、なぜかこっちも嬉しくなる。
なんでだろう……。
「? 我ってキャラ濃いか? そんなことないと思うがな……。ではクイズだ! 『1年生のときの学校に来たばかりのとき、みんなの前で康輝と水麗、どちらが先に自己紹介した?』。先に自己紹介したほうだな!」




