第244話 水麗との関係を
「前回のクイズの答えは『衆人』だ!」
食べすぎた。
冬乃のとこで食べすぎた。
冬乃の『いっぱい食べな?』がすごすぎる。
俺だけでラーメン2杯、チャーハン1人前、杏仁豆腐3つ食べた。
こんな食べたの久しぶりすぎる。
俺だけじゃなくてみんなも苦しそうだった。
あの大雅ですら苦しそうだった。
家に帰ってきて数時間経ったけどまだ苦しい。
そのせいでなにもやる気起こんない。
勉強する気ないし、ゲーム飽きたし、苦しくて寝れないし。
だから今ボーッとしてる。
自分の部屋で。
あーあ、暇だな。
暇すぎで嫌だわ。
……この時間で水麗との関係戻しとこ。
そういえばなんで水麗との関係悪くなったんだっけ?
ま、いっか。
部屋から出る。
リビングに行ってみたけど水麗はいなかった。
多分部屋にいると思う。
苦しいのを我慢しながら階段をのぼる。
水麗の部屋の前まで来た。
「水麗? いるか?」
そう言ってみるけど、反応はない。
諦めてそこから立ち去ろうとしたとき『――なに?』ってドア越しに水麗の声が聞こえた。
「今ちょっと話せるか?」
「うん」
「なんかさ、ちょっと俺言い過ぎたか? そういうの自分じゃあんま気づかないから、もしそうだったら言ってほしいんだけど。ごめんな」
そう言うと、『カチャ』って鍵が外れる音がした。
そして水麗がドアを開けた。
「水麗……」
「お兄ちゃん……」
「……ごめん。あんな強く言う必要なかったよな」
俺が言うと、水麗がうつむく。
しばらく沈黙になった。
何を言えばいいのかわからなかったから、俺は黙ってた。
「――やっぱり、おかしいかな?」
突然水麗が言う。
「妹が兄のことを好きになるのって」
「いや、全然おかしくないと思う。家族が好きで悪いことなんか――」
「そうじゃなくて」
俺の声を遮る水麗。
そして唇を舌でなめた。
「恋愛的に」
「…………」
「そうだよね。やっぱりお兄ちゃんには理解できないよね。こんなの普通じゃないし。私なんて――」
「水麗」
今度は俺が水麗の声を遮った。
考えるよりも先に、言葉が出た。
「『普通』って言ったか?」
「え?」
「『普通』なんて誰が決めた?」
「それは……」
「みんなと違うのはおかしいからってなんでそんな自虐的に言うんだ?」
「だって……」
「だって?」
「…………」
水麗が強く目を閉じる。
そのときに大粒の涙が落ちた。
水麗はやがて声に出して泣いて、俺に抱きついた。
俺はただ、なにも言わずに水麗を抱き返した。
「ほぅ、兄妹はいいな。我にはいないからな……。なんか羨ましい……。ではクイズだ! 『美月はホラーと〇〇が好き。〇〇に入るのは?』。我のことだな!」




