第241話 休んでる
「前回のクイズの答えは『✕』だ! ……なんか悲しいな」
今、俺は寝ている。
正確に言うと『横になってる』だけど。
そして今の時間は12時。
正午のほうだよ?
そして今日は平日。
普通なら学校にいるはずだ。
でも俺は今家にいる。
なぜかっていうと、風邪引いたから。
インフルエンザとかウイルスとかそういうのかもしれないけど。
それにさ、今日定期考査なんだよ。
今日の教科は英語とかだった気がする。
水麗もセットで休んでる。
だって水麗も風邪引いたから。
もう1回言うけど、インフルエンザとかウイルスとかそういうのかもしれないけど。
……腹減ったな。
かといって、コンビニとかに買いに行く気力がない。
冷蔵庫になにかあったかな?
あとカップ麺とかなかったっけ?
わがまま言うとおかゆとか雑炊とか食べたいけど。
ダルい身体を起こして、部屋から出る。
ふらふらする中、頑張って階段を降りる。
そしたらなんかいいにおいする。
台所からだ。
そこまで行くと、水麗が立ってた。
俺に背中を見せてて、なんか鍋でかき混ぜてる……気がする。
「……水麗?」
張りのない声で言う。
そしたら水麗もびっくりしたみたいで、振り向く。
マスクしてる。
「お兄ちゃん……」
「なにしてんだ……?」
「……つくってた……」
つくってた?
なにを?
鍋の中をのぞいてみる。
そして水麗がなにをつくってたかわかった。
雑炊だ。
「もう……できたから……食べよ……?」
「いいのか……?」
「うん……」
水麗も張りのない声。
鍋を持ち上げて机に置く。
そのあとに食器棚から小皿を2枚出して、スプーンを二つ出す。
腹は減ってるけど量はそんなに食べれないと思う。
でもせっかく水麗がつくってくれたし食べるか。
椅子に座る。
「……いただきます……」
相変わらずの声で言う。
そして小皿に盛って食べる。
……美味い……。
水麗も俺の反対側に座って食べ始める。
……なんか気まずい。
あれからいつも通り話せてないし。
どうしよう……。
とりあえずなんか話題ふるか。
「水麗……、具合どうだ……?」
「……変わらない」
あー、どうしよう。
全然盛り上がらない。
まぁ、具合悪いからしょうがないけど。
こういうのって『ごめん』って言えばいいのかな?
でもこういうときに言う言葉なのかな?
そう言って『テキトーに言ってるでしょ?』とか思われたくないし。
難しいな……。
「康輝と水麗が風邪で苦しんでる中、我は定期考査だ……。英語、急に難しくなったからな……。ではクイズだ! 『康輝たちは、冬にプールに行ったことがある。◯か✕か』。冬にプール、ね……」




