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第235話 お互いに……

「前回のクイズの答えは『康輝(水麗)の父』だ!」

 人通りが少ないところまで来た。

 ひなたさんも美月もだいぶ落ち着いてきたみたい。


 「康輝……! よくこんな大物と……!」

 「本当だよ……! 康輝くんすごいよ……! 美月ちゃんと友達なんて……!」


 ええ……。


 「えーっと……、まず美月。なんでそんな興奮してんだ?」

 「だってひなたさんだよ!? しっかも私の推し!」


 あ、推しなんだ。

 なら興奮するな。


 「で、ひなたさんは?」

 「私も美月ちゃんが推しなの! 美月ちゃんの出てるアニメ見てるし! あとラジオも聞いてるよ!」


 おー、美月のやつ、ラジオもやってるんだ。

 それは知らなかった。


 ってか、美月も『室井美月』って名前で活動してんのか。

 さっきひなたさん、『室井美月』って言ってたし。


 今度調べてみるか。


 「あ、ねぇ、握手してください! 1回ひなたさんと握手したかったんです!」

 「私も握手したい!」


 ちゃんと握手する二人。

 なに見せられてんだ、俺。

 水麗も混乱してるみたいだし。


 「あ、メアド交換しましょうよ!」

 「やったー!」


 あー、そんなに好きなんだ。

 面白い人たちだな。


 「お兄ちゃん、すごいね」

 「ね、すごいね」

 「この二人、両想いだったんだね」

 「こういうのは『両想い』っていうのか?」


 ……そういえばひなたさんに訊きたかったことあったわ。

 今いいかな?

 メアド交換終わったみたいだし。


 「えっとと、ひなたさん?」

 「はい?」

 「最初俺たちが会ったときのこと覚えてる? ショッピングモールなんだけど」

 「もちろん! 忘れるわけないよ!」

 「そのときひなたさん以外にも一人いたよね、女子? どんな関係?」

 「あ、友達!」

 「あと顔隠してなかったけど大丈夫だった?」

 「んー、あのときはまだ今ほど人気じゃなかったし。『気づく人は気づく』みたいな感じ。康輝くんと関わり合ってから人気になったんだねよ。ありがと」


 あ、俺のおかげ?

 絶対に違う気がするけど。


 嫌な感じはしないからいっか。


 「……お兄ちゃん、こっち」


 水麗が袖を引っ張ってくる。

 ひなたさんも美月も俺のこと気にしてないから、こっそり二人から離れた。


 「なんかあの二人楽しそうだからさ、二人にさせてあげよ?」

 「あー、確かに」

 「それなら私とお兄ちゃんで二人で行こっか」


 それもそうだな。

 せっかく推しと会えたんだから二人だけにさせてあげたほうがいいな。


 水麗の手を握って、歩き出した。

「おー、お互い推しだった……。嬉しいよね、こういうときって。ではクイズだ! 『水麗の誕生日は?』。そろそろ忘れてるだろう?」

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