第232話 ひなたさんと
「前回のクイズの答えは『◯』だ! ……って、あんな変な問題答えられるわけないだろ……」
「すごいよね、学校に泊まったんだって?」
早速質問攻めされてる。
『めっちゃ関心がある』ってくらい。
「まぁ……」
「すごいよ! お化け屋敷とか鬼ごっことかもやったらしいよね!」
「よく知ってますね……」
「学校のホームページに書いてあった!」
え、あの学校ホームページなんてあったの?
なんのためにつくった?
校長の判断かな?
ってか、ホームページつくったところでなんもない気がする。
「康輝くんの写真、載ってたよ」
んー、写真!?
撮られたっけ?
ってか、俺の話題ばっかだな。
ひなたさんの話題も考えなきゃ。
「……それより、ドラマ見ました」
「あー、見てくれた? あれさー、監督厳しいんだよね」
あー、そういう……。
それが芸能か。
「次のドラマの撮影も来週にあるんだけどね、なーんか気乗りしないんだよね」
「そうですか……。まぁ、頑張ってください」
「あ、敬語はお互いなしにしよ? 私も仕事以外で敬語あんま使いたくないし」
あー、敬語なし……。
でも一応ひなたさんのほうが先輩なんだけどな、年齢的に。
それより水麗が会話に追いつけてない気がする。
「水麗ちゃんもお泊り会お疲れ様ね。楽しかった?」
「はい、楽しかったです! ……あ、でもお化け屋敷は……」
「あー、敬語なしだよ?」
おー、すごい。
個人的にはこういう大物女優ってなんか『は? 敬語使えよ』ってイメージあったけどな……。
……今考えるとひどいイメージだった。
「それで、お化け屋敷がどうかした?」
「えっと……、怖かった……」
「あー、怖いよね、お化け屋敷」
いや、お化け屋敷で起きたことが怖いんだよ。
多分人間が手を加えたやつは怖くない。
「じゃあさ、もう1回怖い思いする?」
もう1回?
ひなたさんを見てみると、ひなたさんがお化け屋敷に指差してた。
……あー……。
「無料だって、入ろ?」
「あー……、ここってマジのお化け出る?」
「うーん、お化けか……。こんな昼間からは出ないんじゃない?」
「そっか、それなら入ろっかな? 水麗も入るか?」
……? 水麗がいない。
どこ行った?
「水麗ちゃんならなんか必死に走ってったよ?」
逃げたな。
そういえばあいつホラー苦手だったわ。
「水麗ちゃんなんかあったのかな? 具合悪いとか」
「いや、逃げてるだけ。ホラー苦手だから」
「あ、怖いの無理だったんだ……。悪いこと言っちゃったな……」
「大丈夫だよ。多分もう隠れちゃったからすぐには出てこないから行く?」
「いいかな?」
「いいと思う」
「じゃあ行こっか」
ひなたさんはそう言って、その建物に向かった。
「え、あの学校ってホームページあったの……? 知らなかったんだけど……。 ……じゃあクイズね? 『石川ひなたと康輝はどこで初めて会った?』。石川ひなた、ね……」




