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第228話 移動

「前回のクイズの答えは『石本先輩』だ!」

 メイクが終わってからなんか大きい車に乗せられた。

 これで移動するみたい。


 それにしてもでっかい車だな……。

 こんな車一生乗れないと思ってたのに。


 運転は柚子さんがしてくれてる。


 「乗り心地どう?」

 「あ、めっちゃ居心地いいです」

 「よかった。ひなたちゃんからよく聞いてるよ」


 『ひなたちゃん』か……。

 俺のこと話してくれてるなんて嬉しいな――


 ――って、ええ!?

 『ひなたちゃん』って誰!?


 俺にそんな知り合いいないんだけど!


 ……まさか石川ひなたさん!?

 いや、あんな大物が俺の話なんてしてくれるわけないか。


 「初めはモールで話しかけたんだってね」


 うわ、石川ひなたさんだ、絶対。

 マジか、恥ずかし。


 「ひ、ひなたさんと知り合いなんですね……」

 「たまにメイク担当させられるんだよね。それにしてもひなたちゃんかわいいよねー。あの顔うらやましいよ」


 柚子さんも充分整った顔立ちしてると思うけどな……。


 「びっくりしたよー。先生の息子さんが大物女優と知り合いなんて」

 「こっちもびっくりですよ、まさかあの人が大物女優なんて」

 「あれ? 女優ってこと知ってて話しかけたんじゃないの?」


 あー、俺がナンパしたことは知らないのか。

 じゃあどうやって説明しよう……。


 「ひなたちゃんと最近話してる?」

 「いえ、直接会うのはさすがに少なくなりましたね……」

 「メールつないでるんでしょ?」

 「一応つないでますけど……。最近してません」

 「そっか……」

 「あのお方も忙しい人ですし」

 「そーだよねー、引っ張りだこだもんねー」


 そこから柚子さんは黙り込んだ。

 ……気まず。

 このまま無言で時間過ごさなきゃいけないの?


 いや、なんか話そう。

 そうだ、父さんのこと話せば――


 「――着いたよ」


 あー、思いついた瞬間に着くんだ。

 タイミングいいのか悪いのかわからないな……。


 柚子さんが駐車場に車を停める。

 手慣れてそうだな。


 「じゃ、降りるよ。みんなに注目されると思うけど頑張ってね」


 え、注目されるの?

 ……そりゃそっか。

 こんなメイクしてたら注目されるか。


 柚子さんが先に降りて俺のところのドアを開けてくれる。

 俺は車から降りる。


 予想通りみんな見てくる。

 あと写真撮ってくる。

 しかもバカにするように笑いながら。


 あー、なんだろこの気持ち。

 恥ずかしいけど、なんか別の感情もある。


 今日はずっとこの気持ちのまま過ごさなきゃいけないのか……。

「とうとう始まるな! 康輝の出番が! 我も早く見たいな、ゾンビ康輝。ではクイズだ! 『石本先輩には弟がいる。◯か✕か』。……今回もなにも言うことがない……」

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