第227話 メイク
「前回のクイズの答えは『母親』だ!」
さらに数日が経った。
今日がお祭りらしい。
今椅子に座ってる。
ただの椅子じゃなくて、美容院みたいに前に大きい鏡があって近くにメイク用品みたいなやつが近くにある。
『ここで座ってろ』って言われた。
「じゃ、やろっか。よろしくお願いします」
柚子さんが部屋に入ってくる。
今からメイクするらしい。
「康輝くん、メイクは初めて?」
「はい……」
「そっか。髪は染めたことある?」
「あっと……、1回だけあります」
「お、あるんだ。何色?」
「緑です」
「緑色好きなの?」
「いえ、勝手に色決められました」
うん、確かそうだった。
冬乃だっけ? それとも美容師さんだっけ?
まぁ、その二人のどっちかに決められた。
それよりなんかめっちゃ昔な感じするな……。
あのあとショッピングモールでナンパして失敗したんだ。
そういえばあのとき初めて石川ひなたさんに会ったんだ。
最初は『Rira』さんって思ってたけど。
結構有名な女優さんって知ってから意識してテレビ観てるけど、確かに結構テレビに出てる。
ドラマにも出てるし、クイズ番組とかにも出てる。
ああ見ると引っ張りだこなのかなって思う。
最近メールしてないな。
俺から送ろっかな?
いや、向こうも忙しそうだし変に俺から送っても迷惑か。
気づいたら顔になんか塗られてた。
考え事するとあっという間に時間過ぎるよな。
そういえば美月も声優だったんだ。
『室井美月』って検索したら出てくるかな?
それとも芸名とか使ってんのかな?
美月といえば大雅か。
あいつも最近変わったよな。
昔は喧嘩、喧嘩ってうっさかったけど今は落ち着いてきたな。
なんであんなに喧嘩好きなんだろ?
あと成長といえば……冬乃?
いや、あいつは成長してないな。
……って思ったけど、あれは表面上なんだっけ?
本当は賢かったんだよな。
でもテストで低い点数とるのは勇気いるよな。
下手したら呼び出しとかされるかもしれないのに。
白斗は表面から頭いいって感じするもんな。
……あれ? なんで白斗って俺たちと仲良くしてくれたんだっけ?
ヤバい、完全に忘れた。
存在薄いからな、あいつ。
「――終わりましたよ」
柚子さんの声がする。
気がつくと、鏡になんかゾンビっぽいやつが映ってた。
水麗から見せてもらったマスコットキャラのやつだ。
考え事するとこんなすぐ時間過ぎるんだ。
「じゃ、頑張ってね!」
ニコって笑って柚子さんが言う。
……こういう顔見ると元気出るな。
「おー、なんか楽しそうな会話しておるなー。あと久しぶりに石川ひなた出てきたな。なんか懐かしいな。ではクイズだ! 『1年生のとき、ドッジボールもどきで康輝たちが戦った先輩の名前は?』。懐かしいな、あの謎競技」




